奈良県奈良市、餅飯殿町(もちいどのちょう)にある英会話カフェ「aka tombo coffee」さんにインタビューさせていただきました。
この町は、鹿の生息で有名な奈良公園のすぐ近く。
東大寺や興福寺などの歴史ある寺院や奈良国立博物館などがあり、観光で訪れる方も多いエリアです。
今回のインタビューには、英会話カフェ店主のクリスさんと慶子さん、ご夫婦そろってご参加いただきました。
国際夫婦である2人が、なぜこの地で英会話カフェを開くに至ったのか、とても気になります。
また英会話教室ではなく、あえて英会話カフェとした想いの部分も含め、早速、お話を伺いました。
※ご夫婦そろってインタビューに応じていただきましたが、クリスさんが英語で話された部分は慶子さんの和訳を元に記載しております。
aka tombo coffee オープンのきっかけは異文化コミュニケーションを深めたい想い
── 英会話カフェ「aka tombo coffee」をはじめた理由について、教えていただけますか?
慶子さん:夫のクリスが、日本の文化と外国の文化間のコミュニケーションを取りたいと思ったことが一番大きな理由です。
クリスはオーストラリアのメルボルン出身なのですが、メルボルンのコーヒー文化ってとっても素敵なんですよ。
みんながカフェの中でそれぞれに好きなコーヒーを味わい、様々な会話を楽しんでいる・・・。
そういうものを奈良でもやりたい、外国ならではの文化を体感してもらいたい、という想いで aka tombo coffee をオープンしました。
だからあえて”英会話教室”とはしなかった、という感じです。
── 英会話カフェではどんなサービスがありますか?
慶子さん:通常のカフェとしてご利用いただくのも、もちろんウェルカムです。
英会話に関してのサービスで言いますと、英字新聞を使ったディスカッションや、日常英会話セッションなど、曜日や時間ごとにいろいろな楽しみ方を提供しています。
aka tombo coffee の英会話は五感を使って英語を味わう
── 英会話のセッションでは、具体的にはどんなことをしていますか?
慶子さん:まずは一番人気がある土曜日の「英字新聞朝活ディスカッション」を例にしますね。
ボリュームたっぷりなモーニングセットと、お好きなコーヒーが付いて1時間1,000円でやっています。
(追記:とても人気があり数週間待ちになってしまうため、土曜日のみ2021年11月から最大10名で2フロア制で実施しています。また2022年1月より、土曜日のみ料金改定予定です)
参加者は最大で6人と少人数制にしています。
ディスカッションでは英字新聞を使って、まず1人1段落ずつ記事を読みます。
そして全員で要約したり、記事にあったボキャブラリーについて質問する、といった流れです。
また、発音に挑戦したりなどもしています。
このように記事の中身について、1時間ほど英語でディスカッションや質疑応答を行うのが土曜日の朝のセッションです。
同じセッションを、火曜日の朝、木曜日の夜にも行っています。もちろん同じ料金です。
美味しいコーヒーの香りとともに、お腹も満たして、英語を聞いて話して・・・そんな時間を気軽に味わってもらえたら嬉しいです。
── 行ってみたくなります!他にはどんなセッションがありますか?
慶子さん:英字新聞ではなく、日常英会話のセッションもあります。
日常英会話セッションは1回70分。お食事とドリンク付きで1,200円です。
この日常英会話のセッションは、毎週異なるテーマでやっています。
例えば「災害に遭ったらどうしましょう」といったテーマで話したり、もっと身近なテーマだと、ショッピングの話題とかもありますね。
このセッションは、日曜日の朝7時と、水曜日の夜7時にやっています。
あとは、初心者向け英会話セッションとして最近「英語でお楽しみ会」というのを始めました。これは毎週金曜日の夜6時半から1時間のセッションです。
私とクリスの2人でホストをしますので、半分が英語、半分は日本語で進めます。
ですから英会話初心者の方も安心してご参加いただけますよ。
逆に言うと、このセッションに関しては英語が得意な方、よく喋れる方はお断りしています。
「英語が全然喋れないけど、なんか英語でやってみたい」という方と一緒に、たとえば奈良の有名な所をお散歩したりしています。
また、当店はコーヒーのお店なので、コーヒーを注いでラテを作る体験とか。
お客様にも見様見真似で作ってもらったりしています。
あとは・・・お互いに自分の大切なお宝を紹介し合ったりとかもしています。
ちなみにこの「英語でお楽しみ会」はドリンクとおやつ付きで1,000円です。
── どのセッションもとっても楽しそうですね。
aka tombo coffee はいつでも気軽に英語が楽しめる場所
── 先程から思っていたのですが、英会話セッション&食事の料金、とても良心的ですね!
クリスさん:価格設定を間違えて、ちょっと安過ぎる設定にしちゃった!(笑)
慶子さん:クリスはこう言っていますが、ドリンクの価格設定はここが観光地ということもあり、観光地価格というか・・・。
少し高めの設定ではあるかなと思います。
高めといっても、当店周辺の飲食店さんと同じぐらいの値段設定にしていますので安心してください。(笑)
当店はカフェの運営をはじめて、その後に英会話のセッションサービスを作ったので、英会話の方は後付けというか・・・。
私としては、いつでも好きな時間にパッと来て英会話をできる場にしたかったんです。
一般的な「英会話教室」よりも、もっとゆるい感じがいいなと思って。
だから特に宿題とかも用意していません。
もちろん教材などは多少作っていますが、「継続して毎週参加しないといけない」とか「テキストはこれです!」というような堅い感じにしていないんですね。
カジュアルな感じで使ってもらおうと思ったら、値段を抑えて、気軽に英語に触れ始めてもらえる。
そういう感じになったらいいんじゃないかなと、私は思っています。
── 行く側としてはとてもありがたいです。セッションは予約が必要ですか?
慶子さん:そうですね。
先程お話した、土曜日の「英字新聞朝活ディスカッション」や、日常英会話セッションなどは予約いただいています。
予約が必要なセッションは、お食事や軽食、おやつなどが含まれています。
ですので事前に飲食の準備などをする兼ね合いと、人数制限をしているので、予約いただいている方のみ参加できるようにしているのです。
予約は、参加したいセッションの前々日(店頭申込であれば前日)までにお申し込み頂いています。
── セッションに参加するに当たり、なにか注意点などはありますか?
慶子さん:予約制セッションは、みなさん同じように楽しんでいただくため、扱うテーマはこちらで決めさせていただいています。
人によって車やファッションなど興味があることは様々ですよね。
できるだけ幅広いテーマで、毎週異なる楽しみ方ができるように気を配っています。
英字新聞ディスカッションであれば、“The Japan Times Alpha”という学習者向けの英字新聞を参加者のみなさまに購読してもらっています。
そして、私たちがあらかじめその新聞記事から選んだ内容に沿って、みんなで英会話するというかたちです。
その点はご了承いただければと思います。
aka tombo coffee は楽しく新鮮な学びを提供する工夫がいっぱい
── 各セッションはどんな仕組みになっているのですか?
慶子さん:日常英会話セッションの話を例にしますね。
日常英会話として話すテーマを最初30個やるのですが、この30個のテーマは私たちが作っています。
考えたテーマについて、英語でどんなアクティビティができるか、「楽しさ」を大切にクリスと私で準備しています。
この30個一通り終わったら、同じくこの30個のテーマを繰り返すというサイクルですね。
30種類のテーマのひとくくりを「Round」と呼んでいて、Round2、Round3と進めます。
── なるほど。同じ30種類のものを1順目・2順目・・・とやっていくイメージなのですね?
慶子さん:はい。もちろん随所で違うアクティビティを入れたりとか、季節に合ったテーマを入れたりなど、工夫しています。
今、そろそろRound3が始まるというところです。
ただ、想像以上にリピーターさんが来てくれているので、「また同じことだ」と思われないように、これまでの30個のテーマから50個に増やしてやってみようと思っています。
── 日々試行錯誤されているんですね。あと、ホームページにあります Take1・2とはなんでしょうか?
慶子さん:日常英会話セッションの説明のことですね。
Take1が朝7時から始まる日常英会話セッションです。
Take1が人気で席を取れなくなることが多いので、Take2を作ったんです。
Take2は8時40分から開始とちょっと遅めの時間帯にしています。
ただ、Take2は少し上級者向けで料金は1.5倍という設定にしています。
スピーキング力をつけたいな、という方におすすめです。
aka tombo coffee は初心者から上級者まで楽しめる英会話カフェ
── aka tombo coffeeのお客様はどんな方がおられますか?
慶子さん:幅広い年齢の方がこられますね。平均としては多分40~50歳くらいでしょうか。
若い方ももちろんいらっしゃいますが、学生さんがたまに、30代くらいの働いている方、主婦の方も結構多いかな?という印象です。
クリスさん:今はコロナがあって難しい時期。そんな中で aka tombo coffee に来てくれるお客様は「今の時期だからこそ学ぼう」と感じている人が多いんじゃないかな。
慶子さん:確かにそうね。お客様の英語レベルで言うと、お客様の中には元々留学経験がある方、海外に駐在していた方もいらっしゃいます。
コロナの関係で外国に行きづらいけど英語力を落としたくない、という方も来られていますね。
そういった方には、ご自身のレベルに合わせて適したセッションを選んでご参加いただいています。
── 正直なところ私は英語初心者でして・・・。こういったレベルでも楽しめますか?
クリスさん:全然大丈夫ですよ!来てください。
慶子さん:初めは何でも勇気がいりますし、緊張されると思います。そういった方でしたら、予約のいらないカフェ利用から様子を見てみてはいかがでしょうか?
ただお茶を飲みに来たふりで、実はセッションの様子を偵察・・・でも大丈夫です(笑)
カフェ利用だと、自分の興味のあることだけをクリスと英会話できますし、セッションで用意された質問に無理に答える必要もないですから。
普通のカフェとして利用できるので、初心者の方には先にお店の雰囲気とか、クリスの人柄とかを知ってもらうのがいいかもしれません。
まずは aka tombo coffee というカフェを楽しんでほしいですね。
当店は1ヶ月◯回コースというような教室のレッスンではないので、本当に気軽に。
1度来てみて良さそう・面白そうと思っていただけたら、少し勇気を出して初心者向けのセッションに来てもらえたら嬉しいです。
クリスさん:待っています!
aka tombo coffee の楽しみ方は自由自在
── セッションの参加はカフェへの来店、という方法のみしょうか?
慶子さん:そうですね、今までお話したセッションはリアル開催ですが、オンラインで全国の方に対応できる「英文添削」もやっています。
ちょうどコロナの時期なので、あまり外を出歩けないという方もいると思い、「英文添削サービス」も始めました。
オンラインで提出してもらった英文を私たちが添削し、文法チェックや日本語での解説、プラスアルファのアドバイスなどを入れて、郵便でお届けしています。
英文添削をご返送する際には、紅茶のティーパックを添えています。
ホッと一息つきながら英語を楽しんでほしい、そういった私たちの想いというか。
── その温かさ、きっと届いているはずです。店内はどんなスペースになっていますか?
慶子さん:お店はビルの2階と3階のスペースを使っています。
2階はカフェスペース。予約のいらない英会話カフェ、セッションの予約人数が4人までの場合はこちらでやっています。
たまたま他のお客様が来店されたとしても、そのまま続けてやっています。
ですので、セッションの様子をチラ見したい方は、2階のカフェスペースで(笑)
3階は「自習室カフェ」と呼んでいまして、参加されるお客様が5人以上になった場合に使っています。
こちらのスペースはカフェ空間と階層が離れていますので、セッションにより集中できると思います。
── 英会話セッション前後、みなさんどんな風に過ごされていますか?
慶子さん:セッションに毎回参加していただけるお客様がだんだん増えてきているので、そのお客様同士がお友達になって・・・という風景をよく見ます。
セッションが終わった後、お客様同士での会話を楽しみにされている方も多いです。
── レッスンの後に自主的に英語で会話練習する、という感じですか?
慶子さん:そうですね。セッション後30分ぐらいはずっと英語で会話されています。ただ次第に日本語になってきて・・・最後はずっと日本語でお喋りを楽しんでおられたりとか。
それも全然アリです!
── そういう意味ではカフェがあるってありがたいですね。
慶子さん:そうですね。お客様それぞれの英語の楽しみ方があると思いますので、その楽しみを aka tombo coffee がアシストしたり、きっかけや場を提供できれば嬉しいです。
aka tombo coffee の今後の展望とメッセージ
── 英会話カフェとして、今後なにか挑戦したいことなどはありますか?
慶子さん:コロナのこともあり、今難しい状況ではあります。
実は、私たち aka tombo coffee をオープンしたのが2020年6月と、コロナが始まってすぐのタイミングなんですね。
店舗の契約や工事に着手しだしたのがその前なので、まさかこんな状況になるとは思っていませんでした。
カフェの営業に関しては、国内の観光者やインバウンドなど、まだまだ想定していたものには及びません。
ですが本当にありがたいことに、英会話という目的で来てくださるお客様がいらっしゃるので、ご期待に応えられるようにまだまだ頑張っていかないと!と思っています。
クリスさん:僕はとっても奈良が好き。特に奈良のいろいろな場所を歩くのが好きだから、「英語でウォーキングツアー」みたいなことが出来たらと思っています。
また、僕はオーストラリアのメルボルン出身なので、メルボルンに関連したグッズ販売に挑戦したいと考えています。
── 面白そうな構想ですね!ちなみにクリスさんの「奈良好き」は何かきっかけがあったのですか?
慶子さん:私たちはオーストラリアに11年ぐらい住んでいました。
私の実家が奈良で、私の親に会いに、2年に1回ぐらいのタイミングで奈良に来ていたんです。
クリスは奈良の歴史なども非常に大好きで、元々伝統的なもの、建築、そういったものにも興味を持っていました。
奈良が私の故郷であることもあって、奈良に住もうと一緒に帰ってきたんです。
お互いに親近感を持って、日本文化や奈良での生活を楽しんでいます。
── お2人はオーストラリアで出会われた、ということでしょうか?慶子さんが海外にでたきっかけは何でしょうか?
慶子さん:若い時から英語がずっと好きで、ぼんやりと「英語圏の国に行ってみたいな」っていう希望があったんです。
それで私が30歳ぐらいのときかな。なんか30歳ぐらいで女性ってちょっと人生を考えたりすると思うんです。
── 何だかわかる気がします。
慶子さん:ずっと「外国に行きたい」っていうぼんやりした希望でしたが、いろいろな人に言っていたら、たまたま「オーストラリアに行けそうな機会があるよ」という情報が入ってきました。
もしここで行かないと、多分一生外国には行かないんじゃないかなと思って、一世一代!思い切ってオーストラリアに行くことにしました。
そこでクリスに会って、結婚して・・・人生が大きく変わりました。
英語を勉強していて、人生がいい方向に変わって、本当に良かったなと思っています。
── 「外国に行きたい」という夢を言い続けて、こんなにも人生が変わるとはびっくりですね。
慶子さん:ええ、本当に。
── 最後に、英語を勉強していきたい読者の方へ何か一言いただけますか?
クリスさん:英語を継続して勉強していくには、そのモチベーションを保つのはなかなか難しいと思います。
まずは世に出ている様々な学習の情報などを、いろいろ試してみてはいかがでしょうか?
慶子さん:ぜひご自身に合った学習方法が見つかりますように、と応援しています。
aka tombo coffee に来てくださるお客様たちからは「英会話でのコミュニケーションがすごく楽しい」「他の人の意見を聞くことで英語へのモチベーションが上がる」といったお声もいただいています。
aka tombo coffee では、The勉強!というよりも、楽しく気軽に英語に触れられる機会を提供できればと思っていますので、ぜひ立ち寄ってくださいね。
aka tombo coffee の基本情報
教室名 | aka tombo coffee |
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所在地 | 630-8222 奈良市餅飯殿町(もちいどのちょう)15 Yビル2F |
費用 | 入会金等なし/予約制セッション1回1時間1,000円(飲食代等込)~/2F英会話カフェと3F自習室カフェ利用は予約不要飲食代のみ |
レッスン時間 | 毎日朝活セッション7:00~/土日は朝活8:40~もあり/水木金は夜セッションも開催 |
講師 | ネイティブ講師(メイン)、日本人講師(補助) |
オンライン授業 | なし |
営業時間 | 朝7時~夜7時まで週7日営業 不定休(SNS等で臨時休業をお知らせ) |
電話番号 | 090-9624-8134 |
公式HP | https://akatombo-coffee.shopinfo.jp/ |
SNS | Instagram Twitter(英会話カフェアカウント) Twitter(英語学習アカウント) |
aka tombo coffee の位置情報
※ 取材時の情報を掲載しています。最新情報は直接、aka tombo coffee さんへお問い合わせください。
aka tombo coffee の取材後記
「外国に行ってみたい」という、ぼんやりとしていた慶子さんの夢。
思い切って渡豪したことで、クリスさんという生涯のパートナーと出会い、そして歴史深い奈良の町で英会話カフェをOPENすることになるなんて・・・。
今回のインタビューでは、慶子さんの「英語のおかげで人生が好転した」という素敵なエピソードと共に、aka tombo coffee さんの英会話カフェとしての魅力をたくさん知ることができました。
英会話をはじめ、新しいことを始めるにはとても勇気がいるものです。
そんなとき、aka tombo coffee さんのボリュームたっぷりなモーニングとカフェラテで、朝から元気チャージできれば「よし!頑張ろう!」という力が湧いてきそうです。
「英語を勉強するのはハードルが高い」と感じる方は、まずはオーストラリア・メルボルンのカフェ体験から初めてみてはいかがでしょうか。
取材日:2021年10月27日
取材/文:小原亜紗子
写真:aka tombo coffee提供