滋賀県大津市にある英語の学童「biwa kids」さんにお話をうかがいました。
今回インタビューに対応いただいた代表の伊丹さんは、長年ニューヨークでの生活を経て、日本に戻った後しばらくして biwa kids を立ち上げます。
ご経歴によるとジャズシンガーであり、ヨガティーチャーとしても活躍されるなど、多彩な特技をお持ちのようです。
さて、英語の学童というとぱっとイメージがつかず、「どんなことをやっているの?」と気になる方も多いでしょう。
今回のインタビューでは、biwa kids さんでのサービスについてくわしく伺いました。
また伊丹さんたちが、これからの未来を担う子どもたちにどんな思いで接しているのかを含め、丁寧にお話しいただきました。
早速その様子をレポートします。
biwa kids を立ち上げたきっかけは子ども達に広い世界を見てほしい想いから
── まずは biwa kids を立ち上げたきっかけを教えていただけますか?
私は以前海外で生活していまして、様々な経験をした後、5年ぐらい前に日本に戻ってきました。
それで日本に戻ってきてからしばらくは、インターナショナルスクールでマネージャーをしていたんですね。
自分が日本の外に出て世界を見てきた経験から、日本の子どもたちもいろんな事を経験してほしい。
このグローバル化し続ける社会で生きていくなら、いずれ世界に出て活躍していくチカラが必要になる、と感じました。
じゃあ世界で活躍していくには、どんなお手伝いが自分にできるか。
子どもたちのために何ができるかを考えていた時に、「自分で国際的なチカラが身につくクラス運営をしよう!」と考え開業しました。
── インターナショナルスクールで働きながら、その想いを実現しようとは思われなかったのでしょうか?
やはり、雇われてマネージャーをやるということは、自分の哲学などといった考えがあまり重要ではなく、スクールの仕事として行うことになります。
でも自分のビジネスだったら、自分の考え・哲学をしっかりと入れながらプログラムを構築していけますよね。
より愛情を込めて作っていけるというか・・・もちろんどちらも「仕事」ではありますが、全く違うものかと思います。
また、勤めていたインターナショナルスクールは幼稚園だったので、関わる年齢としては4~6歳なんですね。
今私自身が運営している biwa kids は、基本的に小学生を対象としています。
── 小学生を対象とした理由はなんでしょう?
この滋賀県大津市周辺で言いますと、他の幼稚園やインターナショナルスクールって結構あるんです。
また英会話教室や英語学校というのもたくさんあります。
でも小学生を対象としたアクティビティプログラムはほとんどありませんでした。
その結果、やっぱり今あるものではない、新しいものが提供できるのではないかという考えに行き着いたんです。
biwa kids は今ないものを創造する先駆者
── biwa kids にはどんなクラスがありますか?
biwa kids は、小学生を対象とした「放課後 Art Club」という放課後英語学童を運営しています。
その他にも、ヨガクラスや国際交流を目的としたイベントなどを開催しています。
── biwa kids の放課後 Art Club とはどういったサービスなのでしょうか?
現在の放課後 Art Clubは水曜日・金曜日に運営していて、コースは、週1回もしくは週2回のどちらかを選んでいただきます。
3時間の学童としてご利用される方もいますし、英語のレッスンのみで利用される方もおられます。
── 3時間の学童というのは、この時間の中に英語のレッスンも入っているのでしょうか?
そうです。15時から18時までのお預かり時間の中で、16時から17時までは英語のレッスンがあります。
ですので、レッスンのみでこられる生徒さんと学童の子どもたちとミックスでやっています。
── レッスンではなにかテキスト・教材などは使われているのでしょうか?
biwa kids は、「英語を教える」と言うよりは「英語で自己表現できるチカラ」を養いたいという私の想いで始めました。
とは言えやっぱり基本的な英語力も必要です。
ボキャブラリやフォニックスの音などの基本的な部分も大事なんですね。
そういった基礎力があった方が、例えば英語のゲーム1つにしても、子どもたちがもっと楽しめるな、とやりながらわかってきました。
ですので、そういう意味で教材は使用しています。
教材は、Scholastic の教材を使ったり、National Geographic の本、様々な洋書、インターネット上の教材も必要に応じて使っています。
── biwa kids の生徒さんの様子ってどんな感じですか?
そうですね。その時の子どもたちのエネルギーや、雰囲気にもよりますが、例えば「今好きなポーズをやって」って言われたときに、日本人のお子さんってなかなかできない方が多いです。
フリースタイルで何かの表現の場が与えられたときに、戸惑ってしまう部分があるなと感じますね。
私は、どちらかと言うと英語が上手に話せることよりも、「自己表現ができる」ことがとても大事だと思っているんです。
ですのでそういった部分を、放課後 Art Club で子どもたちにどんどん挑戦してもらうなど、機会を投げかけていきたいなと思っています。
biwa kidsでは多彩なスキルをもった講師から英会話が学べる
── biwa kids の放課後 Art Club の講師は伊丹さんが担当されるのですか?
基本的に私が中心に行っています。
そこにネイティブの先生もできるだけ入ってもらっています。
── ネイティブの先生はどんな方ですか?
ネイティブの先生は現在2名います。
1人目のバジ先生は、ニューヨークの方でシアターやミュージックビデオなど、映像関係の仕事を中心に活躍してきました。
それと同時に幼稚園と小学校の先生でもありました。
元々ビデオを作るプロだったので、「映像制作をどんな風に行うのか」みたいなものを、子どもたちにワークショップを行ったりしていた経験もありますね。
全米で初めての子供のための映画製作のプログラムを作った人でもあります。
ちなみにバジ先生が私の夫です。
2人目のマーク先生は、元々のバックグラウンドが南アフリカ・イスラエル・イギリスなど、色々な背景を持っている方です。
日本に来てから10年ほど英語を教えることに携わってこられました。
子どもから大人まで幅広く英語を教えてこられたので、人当たりもよく頼りになる存在です。
基本的に2人ともとてもフレンドリーで優しく、子どもたちにはとても好かれています。
── 伊丹さんのバックグラウンドもお聞きしていいですか?
ええ、もちろんです。
元々歌い手、ジャズを歌いにニューヨークに行ったんです。
歌を歌うお仕事をしていく中で、他の仕事もしながら、ダンス学校にも通っていました。
その時にヨガに出会って、ヨガ講師の資格を取得しました。
── 他のお仕事というと、どんなことをされていたのでしょう?
補習校の先生の仕事であるとか、現地校での代理の教師であるとか。
そういったお仕事を通じて「教える」ということに心が向いていきました。
あとは、通訳もやっていましたね。どの仕事でも自分の英語力を磨くことに繋がり、とてもいい経験だったと思います。
── 素晴らしいですね。ちなみに、ニューヨークへ渡る前から、英語は身に付けていたのですか?
そうですね。もう身に付いていましたね。・・・どうやって英語を身に付けたか気になります?
── 気になります!
実は私の英語スタートは中学生からなんです。学校の義務教育の一環で。
ただ何が違ったかって言うと、やっぱり「好きだった」っていう部分ですね。
まず前提として「英語が好き」なのは一番大事だと思います。
その「好き」だったからこそ、英語を話す機会さえあれば「間違っていても話したい」と思えていました。
間違うことが全然恥ずかしくなかった、これがポイントだと思います。
それでどんどん話していって、高校生の時に英会話を習ったりもしました。
大学のときには、英語を話す仕事も始めて、現場で叩き込んだと言うか。
やっぱり英語を絶対にものにしたい!と思っていたので。
── お話をお聞きしていると「英語が好き」以外の動機がありそうな気もします。
そうですね。私には「広い世界が見たい」って想いがずっとありました。
将来私は日本を出て、絶対に世界を見るんだっていう想いが、多分ずっとあったんだと思います。
そういう意味で、世界で通用する言葉を話すって素敵だな、お友達がいっぱいできるから素敵だなっていうのがあったのと、やっぱり英語の響きが好きだった。
今振り返ると、そういった気持ちで突き進んできたのかな、と思います。
── なるほど。お聞かせいただきありがとうございます。
biwa kids はオンラインを活用して世界とつながる機会を提供
── このコロナ禍で思うようなレッスンができない、といったお悩みなどはありませんか?
biwa kids は2020年4月に立ち上げし、ちょうどコロナが流行りだした時でした。
立ち上げ当時から、放課後学童やレッスンに関しては、感染対策をきちんと行った上で、子どもたちへできる限りのことを対面で提供しています。
最初の1年はコロナが落ち着いたタイミングを見計らって、何度かイベントも行いました。
たとえばヨガにも関連するもので「カルミングボトル」というものがあるんです。
ボトルの中にラメやバブルを入れて見てみると心が落ち着く、というようなものを小学生対象に作ったりとか。
あとはシアターゲームをやったり、ヨガを他の活動に組み合わせたりなどもしましたね。
── 楽しそうですね!対面以外のオンラインレッスンなどは展開されていますか?
オンラインレッスンに関しては、現在構想中です。
ただ、今までも何度かオンラインイベントというかたちで、子どもたちへ行ったことはありますよ。
── そのオンラインイベントではどんなことをされたのですか?
前回のイベントだと、ニューヨークの俳優さんに出演していただいて、ZOOMで子どもたちとつないで話を聞くという企画を行いました。
俳優さんは日々どんなことをしているか、みなさんご存知無いかと思います。
オーディションではこんなことをする、ボイストレーニングはこんな風にやっている、とか。
── 確かに知らないです!その俳優さんは伊丹さんのお友達ですか?
そうです。ニューヨーク生活時代の友人に協力してもらいました。
── 生徒さんたちは貴重な体験ができていいですね!お子さんの様子ってどうでしたか?
そのイベントでは10名ほどの子どもたちが参加してくれました。
初めての試みでしたが、みんな「とっても楽しかった!」って言ってくれてよかったです。
ただ、そういうときでもやっぱり恥ずかしさとか、遠慮とかがあって、自分から声を発することがなかなか難しかったんですよね。
もちろん、お互いにオンラインの難しさみたいなこともあったと思います。
やっぱり実際に目の前で会って、同じところで呼吸をして話しを聞く方が、たくさん得られるものがあるな、と痛感しました。
そういう点ではオンラインの難しさはあります。でも世界中とリアルタイムでつながれるというメリットもあると思うんです。
これがスタートだったので、今後いいものにできるよう、続けていきたいなと思っています。
biwa kids が思う英語を身につけるべき理由は「ダイバーシティ」
── 今後、biwa kids で新しい取り組みなど考えていらっしゃいますか?
今後の構想としては、先程行ったオンラインレッスンに関してもそうですが、クラスを増やす予定をしています。
ミュージカルシアターのクラスとか、コンピューターのプログラミングクラスを英語で行なったりとか、そういったことを考えています。
このコロナがもう少し落ち着いてくれたらいいなとは思いますが、「なるようにしかならないかな」と思って突き進むしかないですね。
── 伊丹さんのその前向きパワーってどこから湧き上がってくるのでしょう?
うーん、どこから・・・でもニューヨークで様々な経験をして「為せば成る」こともあるし、どうにもならないこともある、と学んだことでしょうか。
日本ってやっぱり島国なので、世界におけるダイバーシティってなかなか触れる機会がないと思うんですね。
── ダイバーシティ・・・多様性、という意味ですよね。
ええ、今や「ダイバーシティ」「多様性」っていう言葉がよく聞かれるようになりましたが、まだまだ頭や身体へ浸透していないと私は思います。
やっぱり人種であったりとか、宗教や文化など、みんな考え方が違うこの広い世界の中で、自分と異なることに直面すると初めてだと「なんで?全然分からない」ってなってしまうと思います。
だからやっぱり子どもの時から、「違うものもあるんだ」と気づく機会を幾度と経験してほしい。
そういった機会は日本での学校と家の往復ではなかなか得られないと思うんですね。
どんどん多様性の感じる機会を経験すれば、その積み重ねで状況に応じて臨機応変にできるようになってきます。
問題が起きたときに「どうしよう?」って自分で考えられる力も付いてくる。
biwa kids でそういった経験をたくさん積んで、人間の幅を広げてもらえたらなと思います。
人間を作ると言うか、そういった部分のお手伝いをしていきたいですね。
biwa kids からのメッセージと無料体験のお知らせ
── 最後になりますが、読者の方に何かメッセージをいただけますでしょうか?
今はどの教育に関しても早期教育というか、スタートが早め早めになってきていて、焦る気持ちもあるかもしれません。
でも「好き」という気持ちがあれば、スタートの早い遅いは関係ないと思います。
気持ちの準備ができた時で大丈夫。
本当に好きだったら、いつスタートしても遅くないよ、と私は思っています。
私の今の仕事は英語でサービスを提供することです。
英語を教えることももちろん大事ですが、その中で英語が好きだっていう気持ちを持ってもらうこと。
つまり「種を植えること」が私は一番大事かなと思っています。
biwa kids は少人数制のプログラムです。
一人ひとりのお子さんをしっかりと見ながら、それぞれに合わせて丁寧に対応していきたいと思いますので、ぜひ体験にお越しください。
── ありがとうございます。体験の申込方法を教えて下さい。
biwa kids のWebページに無料体験レッスンの申し込みフォームがありますので、そちらからお申し込みいただくか、お電話いただけたらと思います。
学童の体験に関しては、3時間でのお預かりで諸費用込み1,000円(税込)を頂戴しています。
お寺の優しく落ち着いた環境で、学校後の時間をのびのびと一緒に過ごしましょう。
biwa kids の基本情報
教室名 | biwa kids |
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所在地 | 滋賀県大津市杉浦町9−13(浄光寺内) |
費用 | 週1学童/15,840円(おやつ代込み)、週1レッスンのみ/8,800円 週2学童/23,760円(おやつ代込み)、週2レッスンのみ/13,200円 単発学童/4,950円 10回チケット/ 44,000円(6ヶ月有効)全て消費税込 |
レッスン時間 | 学童15~18時、レッスンは16~17時 |
講師 | Maki Itami Cannon Bajir Cannon Mark Baskind |
オンライン授業 | 現在構想中 |
営業時間 | いつでもご連絡ください |
電話番号 | 080−6984−6443 |
公式HP | https://biwakids.com/ |
SNS | Instagram |
biwa kids の位置情報
※ 取材時の情報を掲載しています。最新情報は直接、biwa kids さんへお問い合わせください。
biwa kids の取材後記
浄光寺さんというお寺で開かれている、英語を使った 放課後 Art Club。
お寺と英語はなんだか意外な組み合わせですが、これも biwa kids さんがお子さんたちに伝えていきたい多様性のあり方の1つなのかもしれません。
共働き世帯が増え、学童を利用する・利用したいご家庭も少なくないかと思います。
学童=「親の帰りを待つ場所」に留まらず、こういった新しい選択肢があるとは目からウロコでした。
biwa kids さんで過ごすお子さんは、学校では学べない、習わないことを英語でたくさん吸収していることでしょう。
お父さん・お母さんが一生懸命お仕事を頑張っている間、お子さんの成長を愛情たっぷりに見守ってくれる biwa kids さん。
「おかえり」「ただいま」のあとに話す家族の会話はなんだろう。
biwa kids さんの学童に通うと、そんな日常の何気ない楽しみが膨らみそうですね。
取材日:2021年11月10日
取材/文:小原亜紗子
写真: biwa kids 提供