「学生時代にもっと勉強しておけば良かった」大人ならば一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
特に「英語をもっと勉強しておけば、今このような苦労はしなかったのに……」という後悔の念に駆られ、大人になってから英語を学び直す方はとても多いです。
英語は大人になってからでも十分、習得できます。しかし、記憶力も体力も充実していた学生時代とは、少し勉強のアプローチを変える必要があります。
今さら中学生向けの文法問題集を解いたり、大学受験用の頻出単語帳を一から暗記したりするのは、大人の学び直しとしては正しいアプローチとは言えません。望むような英語力はつかないのです。
この記事では、大人になってから英語を学び直すときの勉強方法についてご紹介します。
学習に取り組む上で抑えておきたいポイントや、活用したい無料の動画サイトなどおすすめの教材もご紹介しています。
「英語を学び直そうと思うが、何から始めたら良いのかわからない」と悩む方にはぜひ読んで頂きたいです。
いくつになっても「学ぶのに遅い」ということはありません。効率よく学び直し、しっかりと英語力を上げていきましょう。
- 執筆者:Lin
-
小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら
目次
大人になってから英語を学び直しても遅くない!
「英語は子どものころからやっていないと身につかない」
「もう大人になったら英語力は伸びない」
このように思っている方も多いかもしれません。でも大丈夫です。何歳からでも英語は上達します。
これは私の体験談ですが、それほど英語が得意ではなかったのに、40代で突然海外勤務を命じられた知人がいました。
本人の動揺ぶりはすさまじく、私と顔を合わせるたびに「今さら英語なんて身につかない」「無理だ」と繰り返すばかりでした。
ところが、赴任後1年もすると英語でのコミュニケーションも自信を持ってするようになり、その成長ぶりには目を見張ったものです。
この知人の急激な英語力の伸びの背景には、当然ながら英語環境に身を置いていることがあります。しかしそれ以上に本人の「英語を学び直そう」という強い意志があったはずです。
英語を学び直すのに「遅い」ことなどありえません。自分は主婦だから、もう40代、50代だからと、今の環境や年齢を理由に「無理だ」と決めつけてしまうのはもったいないことです。
学び続けてさえいれば、何歳から学んでも必ず英語は上達します。
英語を学び直す前にやるべきこと3つ
私の友人の話を読んで、「今すぐに英語を始めるぞ!」と思った方、とても素晴らしいです。
ですが、ちょっと待ってください。本格的に英語の学び直しに取り組む前に、しておきたいことが3つあります。
これから紹介する3つのことをするのとしないのとでは、学習効率が変わってきます。
英語の学び直しに遠回りはしたくないですよね。特別に難しいことではありませんから、まずはこの3つのことを実践してみましょう。
英語を学び直す前にやるべきこと
- まず英語を学び直す目的を明確にしよう
- 現在の自分の英語力を把握しよう
- 具体的で実現可能な目標を決めよう
1. まず英語を学び直す目的を明確にしよう
英語学習の目的、というと「TOEICで何点取る」「英検何級を取得する」といった目的を掲げがちです。
しかしここで明確にしたいのは目指すべき「目標」ではなく、英語を学ぶ「目的」です。
「英語でおしゃべりができるようになりたい」「英語で書かれているウェブサイトも読めるようになりたい」のように英語で何をしたいかを明らかにしましょう。
目的は1つにしぼる必要はありません。たくさんあればあるだけ、学習に対するモチベーション維持の役に立ちます。
ただし、目的が複数ある場合は自分のなかで優先順位を明確にしておくことが大切です。
2. 現在の自分の英語力を把握しよう
目指すゴールまでの道のりを測るには、現在位置を自覚する必要があります。客観的に今の自分の英語力を測りましょう。
といってもいきなり時間とお金をかけてTOEICや英検といったテストを受ける必要はありません。
20~30問の質問に答えるだけで、おおよその英語力が測れるサイトがありますので、利用してみてください。
たとえばケンブリッジ大学英語検定機構が提供している、Test Your Englishがおすすめです。
社会人であれば「General English」を選択し、25問の設問に答えてみましょう。
10分もあれば終わります。解答の正誤とCEFRレベル判定がすぐに出るので、自分のレベル把握に役立てられますよ。
レベルの目安は下記の通りです。
CEFRレベル | 初中上級レベル |
---|---|
A1・A2レベル | 初級 |
B1・B2レベル | 中級 |
C1・C2レベル | 上級 |
使用するテキストや、教材を選ぶ際の目安にしてみてください。
3. 具体的で実現可能な目標を決めよう
毎日、無理なく取り組める小さな目標を決めましょう。
目標の例
- 英語の記事を1日3記事読む
- 電車のなかでは必ず英語のラジオを聞く
- 寝る前に英語で3行日記を書く
このように「いつ」「どこで」「なにを」するのかを、具体的に決めることがポイントです。
ここで言う「目標」は、自分の行動として、今、成すべきことを定めることを指します。
仕事や家庭を抱える社会人は非常に多忙です。勉強時間をひねり出すのは容易ではないでしょう。
ただ「TOEICで高得点を取る」といった漠然とした目標を掲げても、自分の行動が変わらなければ、得るものは何もありません。
「何をするか」という行動目標を決めたら、最低でも1ヶ月間は継続することを目指しましょう。必ず英語力にも変化が現れるはずです。
「TOEICで900点を取る」といった目標は、いつか果たしたい「夢」として大切に置いておきましょう。
何から始める?ゼロから効率よく学び直せるおすすめ勉強法と教材
「英語を学び直したい」と決意したものの、何から始めれば良いのかわからず、とりあえず書店で「大人の学び直し英語」「中学英文法をやり直す」といった本を手にしたことはありませんか?
一応読んではみたものの、特別英語力が上がった気がしない。
それどころか「こんなこといつ習った?」「こんなことも自分は忘れているのか!」と自分の不甲斐なさに落ち込んでしまう……。
私もやりました。おそらく、多くの方が経験しているのではないでしょうか。
まずお伝えしなければならないのは、この手の書籍は「読み物」として読むもので、当然ながら読んだだけでは、英語力は上がりません。
また、闇雲に中学時代の英文法の問題集をやりこんでも、やはり英語力は上がりません。大人が英語を学び直していくには、いくつか抑えるべきポイントがあります。
せっかくの「学び直し」の機会です。しっかりポイントを抑えて、効率的に英語力を上げていきましょう。
英語で書かれた教材(単語帳、本、参考書)を選ぼう
使用する教材はオール・イングリッシュのものを選びましょう。大きな書店やインターネットで手に入ります。
また学習ウェブサイト、無料のYouTubeなども活用できます。
私がオール・イングリッシュの教材をおすすめする1番の理由は、それらが英語圏で発行されているからです。
英語は、母語話者よりも非母語話者の方が多い言語です。そのため、外国語としての英語の習得方法に関する経験値は、どの言語圏よりも豊かといえます。
教材としても無駄がなく、段階的に英語力を上げていくメソッドの完成度が非常に高い。このような教材を使わないのはもったいないことです。
また、当然ながら「英語は英語で」学ぶのがもっとも近道です。単語や表現の微妙なニュアンスを正しくつかむには、日本語対訳では不十分でしょう。
「日本語がなければテキストの内容がわからない」「オール・イングリッシュの教材なんてとても無理だ」
このように思い込んでいる方は、アメリカ国営放送VOA(Voice of America)が運営する英語学習サイト、VOA Learning Englishに掲載されている、学習コンテンツ「Lesson 1: Welcome! 」を見てみてください。
「Hi」の挨拶から始まり、簡単な英語を使った会話からスタートします。日本で学生時代を過ごし、教科としての英語を学んだ経験がある方であれば、難なく理解できるはずです。
オール・イングリッシュの教材に取り組む、というと身構えてしまう方は、まずはこのレベルから始めましょう。
VOA Learning Englishでは、初級(Beginning level)、中級(Intermediate level)、上級(Advanced level)と習熟度別に、学習動画、内容理解チェック、語彙説明、発音矯正などの各種コンテンツが充実しています。
段階を追って、自然でバランスの良い英語力が身につくように構築されているので、大人の学び直しにはぜひおすすめしたいサイトです。
最初に紹介したのは、初級(Beginning level)のLet’s learn English-Level1-Lesson1の動画です。
導入編であるLevel1は全52レッスン、少しステップアップした初級編Level2は全30レッスンあります。
地方都市から首都ワシントンD.C.に移ってきたAnnaが、町に溶け込み、仕事に就いて、生活を充実させていくストーリー仕立てのレッスン動画を見ながら、日常生活や仕事で使える自然な英語表現を学んでいきます。
ご覧頂いたようにLesson1は拍子抜けするほど簡単です。まずはこのレベルからスタートし、英語を英語で学ぶことに対する苦手意識を取り払いましょう。
Lesson1の全52レッスンを終えたとき、英語力は確実に上がっているはずです。
「英語を学び直したい」と大人になってから思い至る方の多くは、ご自分の現在の英語力を過小評価しています。「自分は英語ができない」と思い込み過ぎているのです。
しかし日本の学校教育を受けてきて、本当に「まったく英語ができない人」はいません。「少しは英語がわかる」はずです。ぜひ、この「少し」を大事にしましょう。
この先「もっと」英語ができるようになるために、今「少し」持っている英語力を最大限生かし、英語を英語で理解する糸口としていくのです。
「オール・イングリッシュの教材なんて自分には無理」と敬遠せず、ぜひチャレンジしてみてください。ほかにもおすすめのサイトをご紹介します。
BBC Learning English
BBC Learning Englishは、BBC英国放送協会が提供する英語学習サイトです。「これが無料!?」と驚くほどコンテンツが充実しています。
特におすすめしたいのは文法解説のコーナー。日本語だと難解になりがちな完了形の説明など、非常に明快です。
高校生の娘にも「今まで、わかったような、わからないような、もやもやしていたものが晴れた」と高評価でした。
ただし単語や表現は、当然ながらイギリス式ですので、アメリカ式と混同しないように少し注意が必要です。
Activities for Learners | Cambridge English
イギリスケンブリッジ大学英語検定機構が提供する英語学習サイトCambridge Englishの、Activities for Learnersも非常におすすめです。
やや「学習」の色味が濃くなるので、学生のように基礎からしっかり勉強し直したい人向けかと思います。
教材ごとにCEFRレベルが明示されているので、自分のレベルに合った教材が探しやすくなっているのも、使いやすいポイントです。まずはA1レベルからスタートしてみましょう。
Learn English Online | British Council
Learn English Online は、イギリスの国際交流機関British Councilの英語学習サイトです。実際に職場や日常生活で使われる自然な表現が学べます。
音声とテキストが主な教材となっているので、勉強色が比較的強いサイトです。
こちらもまずはA1レベル(A1 listening)から取り組んでみてください。
ここまでオール・イングリッシュの教材を強くおすすめしてきましたが、もちろん日本語で書かれたテキスト類を一切使ってはならない、ということではありません。日本人学習者向けに書かれた参考書は、日本語と英語の構造上の違いに着目したり、日本語母語者にわかりやすいように解説をしていたりと、良い面もたくさんあります。これらを使ってはいけない、ということではなく、あくまで学習教材の「主」をオール・イングリッシュのものとした上で、理解を補うために都度参照する「副」教材として、日本語教材を用いる。これくらいのバランスを保てると、英語力も効率よく上がるはずです。
重点的にやるのはインプット!独学でも十分可能
まずは意識的に英語を大量にインプットすることが大切です。これはスクール等に通わずに、独学でできます。
英語が話せない(=アウトプットができない)のはインプットが足りないから
「英語で話しかけられても何も返事ができなかった」「英語でメールを書こうとしたらまったく書けなかった」
多くの方がこうした「英語でアウトプットが思うようにできない状況」に陥り、「英語で話せるようになりたい」「英語で書けるようになりたい」といった思いで、学び直しを決意されているはずです。
でもここで「話せるようになりたいから、話す練習をする」というのは大間違いです。
思うように話せないのは、話す練習が足りていないのではありません。話せるだけの英語のインプットが足りていないのです。
「書く」も同じで、英語のインプットが足りていないのに、いくら「書く」練習をしても無駄なのです。
大量に読むのがもっとも効果的なインプット
英語のインプットには「読む」と「聞く」がありますが、まずは大量に読むことをおすすめします。
個人的には「読む」8割「聞く」2割くらいがちょうど良いバランスだと思っています。
「聞く」ことももちろん大事ですが、BGMのように文字通り聞き流してしまう危険性があるため、時間ばかりがかかり、効率的ではありません。
その点「読む」は、読めば読むほど力になり、正しい英語がどんどん自分のなかにインプットされていきます。
ここで「よし英語を読むぞ」と意気込んで、いきなり英字新聞を手にするのはおすすめできません。もちろん一日1記事くらいは頑張って読んでおくのは良いでしょう。
でもここで読むべきは「頑張って」読むものではありません。「頑張らずに」「ラクに」読めるものを「大量に」読むのです。
おすすめしたいのは子ども向けのコンテンツです。
ただし、英語ネイティブの子どもを対象とした、英語圏で作成されたものに限ります。非ネイティブの児童向け英語学習教材とは異なるので注意してください。
Khan Academy Kidsというアプリでは、小学校低学年の子ども向けの読み物が100作品以上無料で読むことができます。
子ども向けとは言っても、生き物や偉人、自然環境などテーマはバラエティ豊かで、大人が読んでも退屈しないでしょう。
こうした「ラクに」読めるものを、はじめは1日1冊から、慣れてきたら5冊以上、毎日新しいものを読みます。
辞書は使いません。どうしてもわからない単語、どうしても意味を知りたい単語だけ、1冊につき1回使うくらいにとどめましょう。
大事なことは「英語を英語だけで理解しようとすること」です。
2週間も続けると、まず読むスピードが以前より上がったことに気づくでしょう。これは英語を単語ではなく、まとまりとして読めるようになり始めた証拠です。
定型表現や頻出表現を視覚的に捉える、という非常に高度、かつ重要なスキルが身につき始めているのです。
こうなればあとは、少しずつ読むもののレベルを上げていくだけ。小学生レベルのものから、中学生レベル、最終的には大人向けのものを読めるレベルを目指していきましょう。
絶対にしてはいけないことが、急激に読むもののレベルを上げることです。
あくまで「頑張らずに」「ラクに」読めるものを「大量に」読むことが大切です。読んでみて「難しい」と感じたら、無理せず別のものを読みましょう。
「聞く」ときは原稿があるものを選んで丁寧に聞く
「聞く」のインプットの際は、「読む」とは逆で、同じものを何度も聞くことを私はおすすめします。
1分から3分程度の短めの音声を、3日続けて同じものを聞いてみてください。暗唱できるレベルになったら、初めて次の音源に移る。
これくらいじっくり丁寧に取り組むと、「聞く」のインプット効果が出てきます。音楽のようにただ聞き流していては、英語のインプットにはなりません。
はじめは英語学習者向けに作られた、原稿があるものが良いでしょう。
先般ご紹介したVOA Learning Englishのサイトでは、英語レベル別に学習動画が用意されているので、自分の英語力に合った教材が選びやすくなっています。
なかでも抑えておきたいのがNews Wordsのコーナーです。ニュースで取り上げられるキーワードの解説を、英語学習者向けに丁寧にしています。
時事英語に触れられるので、大人の学習者には特におすすめです。
一度自分で原稿に目を通し、音読してみましょう。音声と合わせて音読するオーバーラッピング、音声を追いかけて復唱するシャドーイングも行えると効果的です。
英語のインプットで言葉の正しい使い方を学ぶ
ここまで様々な教材をご紹介しました。子どもや英語学習者など、語彙数の限られた層を対象に作られたコンテンツは学びの宝庫です。
日本人学習者が苦手とする、「シンプルな言葉を駆使して多様な表現をする」ことがたくさん学べます。
私たち日本人学習者は「単語力」にこだわりがちです。「難しい単語を知っている = 英語ができる」という学生時代の思い込みが抜けていない方が、大人になっても多いのではないでしょうか。
もちろん難しい単語は知っているに超したことはありません。しかし適切に使えなければ無意味です。
またその難しい単語の意味を英語で説明できるだけの力がなければ、これもまた無意味です。
英語インプットの最大の目的は「新しい単語を覚える」ことではありません。「正しい言葉の使い方を学ぶ」ことです。
「大量に読む」「丁寧に聞く」ことを通じて、シンプルな英語でできる、豊かな表現をたくさんインプットしていきましょう。
アウトプットはインプットとセットにするのがおすすめ
アウトプットは、インプットのように独学だけでは難しいところもあるので、必要に応じて話し相手や、第三者からアドバイスを受けられると上達が早いでしょう。
独学でのおすすめの勉強法としては、インプットとセットにすることです。
本や記事を英語で読んだら、1番大事な1文を本文から書き出してみる。これも大事な「アウトプット」です。
慣れてきたら、次は3文程度で内容を要約してみましょう。はじめは本文からの抜き書きでも十分です。
その後、少しずつ自分の言葉で置き換えていきましょう。この際に英英辞書を使って、類語を調べるクセをつけると、語彙力が急激に上がります。
次の段階では、自分の意見を書いてみます。はじめは「面白かった」「不思議だった」程度で十分です。
慣れてきたら、「なぜそう感じたか」の1文を足しましょう。この時点ではできる限り難しい単語は使わず、「小学生が読んでもわかるレベル」で書くことがポイントです。
大人の日本人学習者は、「書く」ことが苦手な方がとても多いです。その理由は、頭のなかで書くことを日本語で考えてから、英語に変換してから書こうとするから。
このときの問題点は、「思考に使っている言語=日本語」のレベルに合わせて、英語をひねり出そうとし過ぎていることです。
「難しい日本語に対応する、難しい英語でアウトプットしなければ!」と思い込み過ぎているのです。
生まれて以来数十年間使いこなしている母語である日本語と、外国語として学習してきた英語を、同レベルで扱おうとするのは無謀です。
アウトプットの練習は、当然アウトプットをしなければ始まりません。
頭のなかで難しい英語に置き換えようと悶々としていないで、まずはシンプルな、小学生でもわかるような英語に置き換えて、ひとまずアウトプットしましょう。
この後で、一度書いた文章をブラッシュアップさせる。これがアウトプット練習の第2段階です。
より適切な表現を求めて、何度でも書き直してみましょう。できればこの段階で、ネイティブ、またはプロの英語講師にチェックしてもらえると、学習には効果的です。
「話す」のアウトプットも同じく、「聞く」とセットにしましょう。レッスン動画を聞いたら、「この動画は○○についての動画でした」と必ずまとめの1文を自分でつけ足します。
慣れてきたら、「自分が学んだこと」「感じたこと」「面白かったところ」など1文ずつ足していきます。最後に「なぜそう感じたか」まで足せると完璧です。
「話す」に関しては、やはり話し相手が欲しいものです。
あまり英語の正確さにはこだわらず、会話のキャッチボールを楽しめる勉強仲間、またはプロの指導が受けられるオンライン英会話などを上手に組み合わせて取り組んでいけると良いですね。
手軽に始められるおすすめのオンライン英会話
アウトプットの場として独学と併用するなら、自宅でも受講可能なオンライン英会話が利用しやすいでしょう。
カリキュラムがしっかりと決まっているオンライン英会話も良いですが、フリートークができるような、柔軟なオンライン英会話の方が良いです。
フリートークが可能なら、英文添削をしてもらえたり、わからないところの質問ができたりするので、おすすめです。
オンライン英会話 | 詳細 |
---|---|
ネイティブキャンプ | フリートークや文章添削に対応 月額料金でレッスン受け放題 ネイティブキャンプの体験レビュー |
レアジョブ英会話 | 全コースフリートークに対応 レアジョブ英会話の体験レビュー |
産経オンライン英会話Plus | フリートークや文章添削に対応 フィリピン人講師、日本人講師、ネイティブ講師在籍 産経オンライン英会話Plusの体験レビュー |
kimini英会話 | 「トピックなし」のフリートークで自由に会話可能 学研のオンライン英会話 kimini英会話の体験レビュー |
Cambly | フリートークや文章添削に対応 自由度高め 追加料金無しでネイティブ講師から学べる Camblyの体験レビュー |
上記のほかにも、おすすめのオンライン英会話を別記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
社会人が英語のやり直しを継続するコツ3つ
英語に限らず、語学学習は継続することが非常に大切です。
仕事に家庭にと役割が多い社会人は、生活に追われがちで自分の自由になる時間などほとんどないのが現状でしょう。そのように多忙な社会人が英語の学習を続けるコツはなんでしょうか。
私自身も「勉強のために英語の本を読もう」と思って図書館から洋書を借りてきたのに、3ページも読まないうちにあっという間に返却期限が来てしまったことが最近ありました。
決して本がつまらなかったわけではなく、ただ「座って本を読む」という行動をこの2週間取っていなかったことが原因です。
これを「忙しかったから仕方がない」で済ませてしまっては、きっと私はまた同じことを繰り返してしまうでしょう。
実際、白状するとこれが始めてではありません。「やろう」と思ったことをやらないと、「忙しかったから」で済ませてしまう常習犯なのです。
しかしこんな私でも、「やろう」と決めたことが続いていることも(いくつかは)あります。それらのことにはある共通点があります。英語学習継続のヒントにもなるかもしれません。
英語学習を継続するコツ3つ
- 第三者を巻き込む
- わかりやすい進度表を作る
- 資格試験を上手に利用する
1. 第三者を巻き込む
自分の行動を徹底して管理できる、自律心も意志も強い方以外は「誰か」を巻き込みましょう。それは家族でも、友人でも、もしくはSNSの向こうの「誰か」でも構いません。
自分はこれをやろうと思っている。やっていなかったら思い出させてほしい。と協力を仰ぐのも良いですし、「一緒にやろう」と手を取り合うのも効果的です。
私の場合「やろう」と決めた行動が長続きしないときは、「自分がやらなくても誰にも迷惑をかけない」という思いがよぎるときです。
さきほどの洋書の例であれば「ああ借りてきた本読んでないな。でも別に読まなくても誰にも迷惑かけないよね」と思ってしまったのです。
逆に「なにがなんでもやらねば」と行動するのは「自分がやらないと誰かが困る」状況に置かれたときです。
たとえば英語の授業などで、グループワークとして本を読まなければならず、自分が読み終わらないことで、他のメンバーに迷惑がかかってしまう。
このような状況であれば、きちんと計画をたてて毎日少しずつでも読み進めたのだと思います。
良い意味で「他人の目」を意識すると、「やろう」と思ったことは続けやすいのかもしれません。ぜひ周囲の方をたくさん巻き込んで、たくさんの「目」に見守ってもらいましょう。
2. わかりやすい進度表を作る
小学校の教室にあるような「がんばり表」を作ってみましょう。「やろう」と思ったことができたらシール1枚を貼っていきます。家のリビングに貼って家族に応援してもらうのも良いですし、恥ずかしければ、こっそり手帳に印をつけるのでも十分です。
大事なことは「やった」ことを可視化することです。具体的にどのテキストを何ページやった、正答率はどれくらい、と細かく書くのでも、とにかく英語に触れたらマル印をつけるでも、ご自身の性格や好みに合わせてやってみましょう。
子どもだましとあなどらず、一度試してみてください。やればやるほどたまっていくシールや印には、大人でもきっと励まされるはずです。
3. 資格試験を上手に利用する
学習のモチベーションの維持に、上手に資格試験を活用してみましょう。
たとえばTOEICを半年に1回受験すると、スコアの変移で自分の英語力が変化していることに気づけるでしょう。普段の頑張りが、結果に出てくることほど励まされることはないはずです。
とはいえ「TOEICのための勉強」を学習の中心にしてしまうのはおすすめできません。
転職や昇進試験などでどうしても期日までに規定のスコアが必要、という場合をのぞいて、本当の意味での英語力を身につけたいと思うのであれば、TOEIC対策に執着することは私は逆効果だと思っています。
TOEICで測定できるのは、英語力のほんの一部分に過ぎません。TOEIC対策をしても、スコアはある程度まで上がるかもしれませんが、「試験対策」だけでは英語力そのものは上がらないのです。
おそらくどこかの時点でスコアは頭打ちになるでしょう。せっかくの学び直しの機会なのですから、ぜひ視野を大きく持って、バランスのとれた確かな英語力を身につけましょう。
試験対策がそのまま英語力の向上に結びつく資格試験をお探しの方には、私はケンブリッジ英検を強くおすすめします。(世界で通用する英語資格)
大人の英語の学び直しに関するよくある質問
最後に英語の学び直しに関するお悩み、ご質問に答えていきます。
- 学び直しの教材として、中学や高校の教科書、テキスト、単語帳を使っても良いでしょうか?古いとだめでしょうか。
- 私自身は学生時代のテキスト類をそのまま一からやり直すことはおすすめしません。その理由は「テキストが古いから」ではなく、「非効率的だから」です。
学生時代に身につかなかったやり方を、大人になった今繰り返してもほとんどの人は同じ結果になるでしょう。身につきません。別のアプローチに変えることをおすすめします。
また、中高生向けの英語教科書はどうしても入試対策に偏りがちで、実生活で社会人として必要とされる英語とは方向性が異なります。学生時代のテキスト類は、忘れてしまっている事柄を確認するなど、必要に応じて参照するくらいが良いでしょう。 - 社会人が英語を学び直して習得するのにどれくらい時間がかかりますか?
- 「習得」のゴールをどこに置くか、は人によって異なるので難しい質問です。参考までに申し上げると「CEFRグレードを1つ上げるのに必要な時間はおよそ200時間」というデータがケンブリッジ大学英語検定機構からは出ています。(Guided learning hours)
勉強時間を1日1時間とすれば約半年で、多少は英語力のレベルアップが実感できるのではないでしょうか。 - キャリアアップを目的に英語を学び直したいですが、日常英会話も身につけたいです。ビジネス英会話と日常英会話どちらを優先するべきですか?
- 仕事で英語を使う機会が差し迫っているのであれば、ビジネス英会話を優先させましょう。
ビジネス英会話はシンプルな定型表現が多く、短期間で身につけることができます。逆に日常英会話は、シチュエーションや話題の幅が無限大で、一朝一夕では身につきません。まずはビジネスシーンでよく使う定型表現をしっかりインプットし、使いこなせるようになりましょう。平行して、さまざまな話題に対応できるように多様なジャンルの本や記事を英語で読むことを心がけていれば、自然と日常会話力も上がっていきます。
【まとめ】大人には大人の英語学習の仕方がある
この記事では、大人が英語を学び直すときに抑えておきたい学習のポイントや、役立つサイトや教材をご紹介してきました。
「大人になってからでは英語は身につかない」といったことは絶対にありえません。英語力は、何歳になっても学習を継続してさえいれば必ず伸びます。
「大人には大人の英語学習の仕方」があるのです。
効率よく楽しく、大人にふさわしい英語を身につけていきましょう。