英検®、TOEIC®、IELTS™にTOEFL®まで、日本国内で受験できる英語の資格試験は数多くありますが「この資格って本当に役に立つの?」「資格なんてとっても意味ない?」と不安に思ったことはありませんか?
せっかく時間とお金をかけて勉強して試験を受けるのであれば、進学や仕事など将来的に役に立つ資格を賢く選びたいですよね。
現在日本で取得できる英語関連資格は48種類あります。ですが、そのすべての資格試験が海外で就職をしたり、進学をする人に有効というわけではありません。
そこでこの記事では、認知度・信頼度ともに世界で通用する英語資格を紹介していきます。
進学を控えた学生さんだけでなく、海外でビジネスをしてきたいと考える大人の方にもおすすめの資格を一覧にしていますので、将来に生かせる資格をしっかりと見定めて、取得を目指していきましょう。
- 執筆者:Lin
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小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら
目次
英語の資格は意味ない?留学や海外就職に本当に必要な資格とは
そもそも英語を身につけるのに資格は必要ありません。
英検®やTOEIC®を一度も受験していなくても、英語が堪能な人はいくらでもいます。
逆に英語関連の資格をたくさん持っていても、目の前の人と英語でコミュニケーションがとれない、という人も大勢いるでしょう。
では英語の資格は無意味なのかといえば、違います。資格が必要とされる場面は、確実にあります。
英語の資格は英語力を客観的に証明するもの
そもそも「資格」とは客観的にスキルを証明するものです。英語の資格は、その人の英語力を第三者により正確に、そして効率的に伝えるツールとなります。
たとえば「アメリカで3年暮らしていました。英語での日常生活に問題はありません。」という人がいたとします。この情報だけで、この人間の英語力を測るのは非常に困難です。
アメリカで3年暮らしていた、といっても日本人としか話さない環境だったかもしれません。日常生活、といっても身振り手振りを交えてお店で買い物をする程度だった可能性もあります。
対面で面接をしてみたとしても、この人間が果たしてどれほどの言語運用能力を持つのか、限られた時間で「読む・書く・聞く・話す」の全分野を正確に測定することは、たとえ言語の専門家であったとしても簡単ではありません。
その点、資格があれば判定は容易です。「TOEFL100点」「CEFR C2」といった客観的な指標があることで、相手の言語運用能力レベルをある程度は把握できるでしょう。
英語資格は、このように客観的に英語力を証明する必要に迫られたときに、有効に働きます。
それでは実際にはどのような場面で、英語力を客観的に証明する必要がでてくるのか。そしてその際、どのような資格が役立つのかを具体的に見ていきましょう。
海外で英語力の証明(英語資格)が求められるケース
海外で英語資格が求められるケースは、大きく分けて「海外進学(正規留学)」「海外移住(就労目的)」「海外での就職や転職」の3つあります。
海外の大学への進学(正規留学)
海外大学への進学を希望する場合、留学生には英語力の証明が求められます。
大学によって求められる点数は異なりますが、進学後に研究や生活に支障のないレベルが基準です。まずは日本国内で、自分が進学を希望する大学が求めているスコアを取得する必要があります。
海外の大学進学で主に必要とされる資格は、TOEFL®とIELTS™です。
どちらの試験も、出題内容は学術的な内容となっており、各試験のスコアは、大学で学ぶのに必要な英語力を備えている証明となります。
大まかな違いはTOEFL®はアメリカ英語、IELTS™はイギリス英語がメインとなっている点です。進学する国や大学によって受験するものを選ぶとよいでしょう。
就労目的の海外移住
英語圏に移住するにあたってビザ申請が必要となりますが、多くの国で一定の英語力の証明を求められます。
国や、ビザの種類、また仕事の内容によっても、求められるレベルは異なりますが「現地での生活に支障がないか」という点が基準になります。
各国の移民政策は短期間で大幅に変わることも珍しくなく、以前は通用した資格が使えない、基準点が上がっている、といったこともあるので常に最新の情報を得ることが大切です。
海外移住に必要な資格は、IELTS™などがあります。
移住を希望する国の移民情報をよく確認して、必要な試験を受けるようにしましょう。
海外での就職や転職
すでに海外在住で就職・転職を行う場合、企業によっては、外国籍のスタッフに対して英語力の証明を求めるケースがあります。
企業側から指定される英語テストの受験か、CEFRのグレード証明というのが一般的でしょう。
海外大学で取得した学位などがあれば特に英語力の証明は必要ない、ということもあります。高い英語力を求める、というよりは業務上支障がないか確認する、というのが主旨です。
国際的に認知度・信頼度の高い資格を選ぶことが大切
日本で受験できる英語関連の資格は数多くあります。しかし先程もお伝えした通り、日本以外のところで英語力の証明として使えるものは限られています。
世界標準で見たときに認知度が低い、評価が曖昧で正確に英語力を測れない、受験者層が偏っている、といった資格はまず評価されないのです。
たとえば日本でもっとも受験者数の多い英検®(実用英語技能検定)は、残念ながら日本人以外には評価されていません。
受験者はほぼ日本人で、「日本人の英語力を測る」ことに特化している検定試験が、世界で認知されていないのは当然のことでしょう。
英語力を公的に証明するには、「英語圏で開発されている」「世界中に受験者がいる」「信頼度が高い」資格を選ぶ必要があります。
現時点でいえば、英国のIELTS™、ケンブリッジ英検、そしてアメリカのTOEFL®などがそれに該当するでしょう。
私個人が英語関連の資格で取得してよかった、と実感したのはケンブリッジ英検です。英国在住時に受験し、CEFRグレード C1を取得しました。これにより「英語力に支障がない」ことが証明でき、のちにTESOLコース(後述:英語教授法を学ぶ講師養成講座)を受講する際、英語ネイティブと同じ授業を受けることが認められました。TESOLコースは英語ネイティブ向けの講座で、非ネイティブの場合はCEFR C1以上の公的なグレード証明がないと受講資格がなかったのです。
このように英語力を公的に証明する際、資格は有効に働いてくれるでしょう。それでは次から、国際的に認知度・信頼度の高いおすすめの資格を紹介します。
ビジネス・留学・移住など世界で通用するおすすめ英語資格6種比較一覧
世界で通用する英語関連資格は6つです。まずは簡単な比較表で、あなたの目的に合った資格をピックアップしましょう。
資格名をクリックすると試験の詳細をすぐに見ることができるので、気になる資格をチェックしてみてください。
世界で通用する英語資格6種一覧
資格 | 概要 | 目的 |
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IELTS™ | アカデミック領域の英語4技能を測定 ※ジェネラル(一般向け)もあり |
・海外大学進学 ・移住 ・海外での就労 |
TOEFL® | アカデミック領域の英語4技能を測定 | ・海外大学進学 ・移住 ・海外での就労 |
ケンブリッジ大学英語検定試験 | グローバル基準で英語4技能を測定 | ・海外大学進学 ・海外での就労 |
VERSANT™ | ビジネスで求められる英語コミュニケーション力を測定 | ・海外での就労 |
CELTA | 英語指導者資格 | ・海外での就労 |
TESOL | 英語指導者資格 | ・海外での就労 |
IELTS™(アイエルツ)
IELTS™(International English Language Testing System)は英国ケンブリッジ大学英語検定機構、英国国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシル、そして教育関連企業のIDP Educationが共同運営している英語能力判定試験です。
現在IELTS™には「アカデミック」と「ジェネラル」の2種類があります。
どちらもリーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの4技能がテストされますが、アカデミックは英語圏の大学・大学院への進学希望者を主な対象とし、実際の講義・研究・学生生活全般を行うために必要な英語力を測定するテストです。
一方ジェネラルは英語圏への移住や就職希望者を主な対象としており、日常生活で必要な英語力を測定します。
スピーキングとリスニングの問題は共通ですが、リーディングとライティングはアカデミックとジェネラルでは内容が異なります。
受験方式は従来型のペーパー版とコンピューター版から選択可能です。どちらを選択しても、スピーキングテストは試験官と1対1の対面で行われます。
結果は合否ではなく、1.0から9.0まで0.5刻みのスコア判定。4技能それぞれのスコアが判定され、その平均値が総合スコア=IELTS™スコアとなります。
海外留学を目指す場合、スタートラインは5.5ですが、6.5〜7.0あると選択肢が広がるでしょう。海外移住の場合は、国や取得ビザによって差はありますが5.5あれば一定の英語力の証明にはなります。
時間をかけて4技能をしっかりテストするので、海外留学や移住を考えている方だけでなく、自分の英語力を正確に測りたいという方にもおすすめしたい試験です。
IELTS™の基本情報
主催 | ケンブリッジ大学英語検定機構 ブリティッシュ・カウンシル IDP Education |
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難易度 | 初級~上級 |
目的 | 留学・移住・海外での就労 |
留学に活用できるレベル | 5.5以上 |
受験料 | 25,380円~31,500円 |
試験会場 | 札幌、秋田、仙台、千葉/船橋、東京、横浜/川崎、長野/松本、金沢、静岡/浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、香川、福岡、熊本 |
試験日 | ペーパー版:毎週土曜日 コンピューター版:ほぼ毎日 ※会場により異なります |
公式サイト | https://ielts.org/ |
最近は日本国内にもテストセンターが増え、より受験しやすくなりました。移民申請など公的書類に記載できる英語力証明試験であることから、本人確認が厳格なのも特徴です。ちなみに日本国内での受験でも、試験当日はパスポート持参がマストです。「IELTSの概要と効果的な学習法」の記事で、より詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてください。
TOEFL®(トーフル/トフル)
TOEFL®(Test of English as a Foreign Language)は、アメリカの教育試験サービスETS(Educational Testing Service)が主催する、「外国語としての英語能力」を測定する試験です。
英語圏、特にアメリカ国内への大学や大学院進学希望者を主な対象としています。
高等教育を受けるために必要とされる英語力を、リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの4技能において、約2時間で測定します。
受験方式は、試験会場でのコンピューター版が原則。スピーキングテストはマイクに音声を吹き込むスタイルで、対人の面接形式はとりません。
自宅受験型テストが新型コロナウイルス対策の一環としてリリースされましたが、2024年現在では「居住地にテスト会場がない」「受験に際し宿泊を伴う移動が必要」といった背景を持つ受験生向けとされています。
PCの設定や、服装から室内の環境に至るまで非常に細かい条件をクリアする必要があります。
結果は合否ではなく、0点から120点までのスコア判定。4技能それぞれが0点から30点の間でスコア判定され、その合計値が総合スコア=TOEFL®スコアとなります。
海外留学の場合、60点台から願書を受付ける大学もありますが、大半は80点以上を条件にしています。
ハーバード、コーネルといったトップ大学の場合は100点以上。これはCEFR換算するとC1レベルになります。
海外移住を希望する場合も、TOEFL80点台が取れていれば一定の英語力の証明にはなるでしょう。
TOEFL®の特徴はアカデミックな出題傾向にあります。文系・理系といった垣根無く、英語圏の大学生が教養課程で履修する内容が出題範囲のベースとなっているため、進学後に必要とされるスキルとも乖離がなく、非常に実践的な試験と言えます。
TOEFL®の基本情報
主催 | NPO法人教育試験サービスETS (Educational Testing Service) |
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難易度 | 中級~上級 |
目的 | 留学・移住・海外での就労 |
留学に活用できるレベル | 80点以上 |
受験料 | US$245 |
試験会場 | 札幌、仙台、郡山、宇都宮、太田、さいたま/川越/越谷/熊谷、市川/八千代、東京、厚木、長岡、金沢、山梨、静岡/浜松、名古屋、津、京都、大阪/堺、姫路、奈良、広島、高知、福岡/久留米、熊本、宮崎、鹿児島、那覇 |
試験日 | 年間50日程度 土日のみ実施 |
公式サイト | https://www.toefl-ibt.jp/ |
TOEFL®はアメリカ国内の大学に留学を希望する場合は受験必須の試験です。日本国内の大学に進学する学生さんにも、国外の大学生の標準レベルを知るために一度は受験してみることをおすすめしたいです。「TOEIC®とTOEFL®どっちを受験するべき?」と迷っている人は、「TOEICとTOEFLの違い」の記事を参考にしてください。
ケンブリッジ大学英語検定試験
ケンブリッジ英語検定(Cambridge English Qualifications)は英国ケンブリッジ大学英語検定機構が主催する、英語4技能を測定する検定試験です。
学生から社会人まで、幅広い層の英語力を総合的に測ります。
レベルは5段階。基礎段階の「A2 Key」から始まり、「B1 Preliminary」「B2 First」「C1 Advanced」最上級の「C2 Proficiency」まであります。
受験方式はペーパー型とコンピューター型の2種類から選択可能ですが、日本国内での受験の場合はペーパー型が一般的。スピーキングテストは対面の面接方式で、試験官2名(内1名は採点専任)と受験者2名または3名のグループで行います。
試験時間が長いことが特徴で、筆記試験だけでも中級のB2レベルで3時間以上、上級のC1/C2レベルになると4時間近くに及ぶのです。
結果は級別の合否判定ですが、仮に目指した級が不合格となった場合でもCEFRグレードの認定証を発行してくれるので、公的な英語力の証明書として使用できます。
実際に私は以前「C2 Proficiency」を不合格になっていますが、ひとつ下のC1の認定証を発行してくれました(すでにC1は取得済みだったので、C1の認定証ばかり増えて空しい気持ちになり、まったく嬉しくはありませんでしたが…)。
またリーディング・ライティング・スピーキング・リスニング・語彙/語法の5分野それぞれの評価レポートも出るので、自分の英語力を客観的に判断できます。
海外留学の際は、「B2 First」が最低ラインとなります。日本以外からくる海外留学生は、B2は高校時代に取得し、大学進学に向けては「C1 Advanced」「C2 Proficiency」を目指して取得してくるのが一般的です。
ケンブリッジ英検は長年日本ではマイナーな試験でしたが、2018年に大手予備校の河合塾が参入したことで、一気に国内でも受験しやすくなりました。
ヨーロッパを中心とした日本以外の非英語圏では、認知度・信頼度共にトップレベルの英語検定試験です。
ケンブリッジ英検の基本情報
主催 | ケンブリッジ大学英語検定機構 |
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難易度 | 中級~上級 |
目的 | 留学・進学・就職 |
留学に活用できるレベル | B2 First以上 |
受験料 | 14,300円~29,370円 ※料金は受験級・会場による |
試験会場 | 北海道、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、西日本、福岡 |
試験日 | 通年 |
公式サイト | https://www.cambridgeenglish.org/jp/ |
「英語を正しく使いこなせるか」という点を非常にシビアに採点される試験なため、読む・書く・聞く・話す、すべての分野をまんべんなく対策する必要があります。小手先のテクニックや、コミュニケーション能力「だけ」では決して高得点は望めません。
受験対策を通じてしっかり英語力をつけていける、という点では留学・海外移住の予定がない方にもおすすめの資格試験です。
VERSANT(バーサント)
VERSANTはイギリスの教育サービス会社ピアソンによって開発された試験で、仕事で使える実践的な英語力を測ることに重点を置いています。
4技能を測定できますが、スピーキング・リスニングまたはリーディング・ライティングの組み合わせで2技能から受験可能です。
受験方式は、自宅からのオンライン受験で個人申込みと法人申込みの2種類。
24時間いつでも受験可能な上に、2技能受験の場合は30分、4技能で60分という短時間で英語力を測定できる点が特徴です。
結果は合否ではなく、10点〜90点の間、1点刻みのGSEスコアで受験後1時間以内に判定されます(GSE:Global Scale of English ピアソン開発の英語力指標)。総合スコアのほかに、技能別のスコアと現状の課題をふくめた学習アドバイスもフィードバックされます。
公式ホームページによると、日本人の平均スコアは32。仕事で英語を使うポジションは43、海外で仕事ができるレベルは59を目指すことを推奨されています。
公式ホームページからアカウントを登録すると「模擬テスト」が受けられるので、本番前に1度はチャレンジしておくことが勧められています。模擬テストは何度でも受けられ、参考スコアも判定してくれるので、テスト形式に慣れるためにもぜひ活用しましょう。
とはいえVERSANTは受験者の現時点での英語力を測定するツールであり、高得点を狙って対策することは無意味です。英語の学習はテスト対策とは別で行う必要があるでしょう。
VERSANTの基本情報
主催 | ピアソン |
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難易度 | 中級~上級 |
目的 | 就職・転職・海外での就労 |
ビジネスに活用できるレベル | GSEスコア43以上 |
受験料 | 4,400円~9,900円 |
試験会場 | 自宅 |
試験日 | 都度 |
公式サイト | https://www.versant.jp/index.html |
企業側がスタッフの英語力を測るために、研修や採用時に受けさせるパターンが多いようです。
CELTA(セルタ)
CELTA(Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages)は英国ケンブリッジ大学英語検定機構が主催する、英語教授資格です。
海外の語学学校の多くが、英語講師の任用条件としてCELTA取得を挙げています。
「18歳以上の英語を母語とする者」を対象としていますが、CEFR C1以上の英語力があれば必ずしも英語が母語でなくても取得は可能です。
資格取得のためには、ケンブリッジ大学英語検定機構の認定団体が提供する訓練コースを受講することが求められます。2024年現在、日本国内での認定団体はレクシス語学学院の一カ所です。
120時間に及ぶ訓練コースでは、英語の教授方法、授業計画の立て方、教材選定の仕方、など英語講師として必要な事柄を広く学びます。カリキュラムの中には合計6時間の模擬授業と4回の論文提出があり、これらの審査を経て合格すれば資格が取得できます。
CELTAの基本情報
主催 | ケンブリッジ大学英語検定機構 |
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難易度 | 上級 |
目的 | 英語講師としての就労 |
受講料の目安 | 30万~40万円程度 |
受講できる国内のスクール | レクシス語学学院 |
公式サイト | https://www.cambridgeenglish.org/teaching-english/teaching-qualifications/celta/ |
海外の語学学校で正規の英語講師として就労したい方には必須の資格です。また日本国内でも、日本人以外の生徒のレッスンも受け持ちたいという方には、取得のメリットはあるでしょう。
TESOL(テソル)
TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)とは、非英語話者への英語教授法全般を指します。学術分野のひとつでもあり、学位を取得することが可能です。
学位としてのTESOLを取得するには、TESOLコースを提供している大学で授業を履修する必要があります。教育学部、外国語学部などの修士課程、または博士課程で開講しています。
対面式の従来型授業スタイルに加え、オンライン講義を提供する大学もあるので、遠方や海外からでも履修可能です。
またTESOLには、その理論に基づいて認定された資格試験も数多くあります。前述のCELTAもTESOL資格の一種です。
このような「資格」としてのTESOLを取得することも可能です。
資格としてのTESOLは、取得に数年かかる最上級レベルのものから、オンライン講座の受講だけで手軽に取得できるものまで、受講者のニーズに合わせて幅広く普及しています。
海外の語学学校で英語講師、特に管理職につく場合はTESOLの学位は有利に働くでしょう。
資格としてのTESOLは、正規の講師としての任用条件は前述のCELTAが基準となります。しかしそれ以外のTESOL資格も「英語を母語としない学習者への英語教授法」を体系的に学んだ証明として活用できるので、国内外問わず英語を教える仕事を目指す方は取得しておいて損はありません。
TESOLは非英語話者への「英語で英語を教える」教授法であり、コース受講者として想定しているのは「英語が母語である人」が基本です。
そのため非常に特徴的な授業があります。それは「外国語体験」です。
英語が母語である人、つまり英語ネイティブの人は実生活において「言葉(=英語)が通じなくて困った経験」がほとんどありません。世界中のどこにいっても、英語はある程度通じるからです。
マイナー言語である日本語話者である我々からすると、実に羨ましい状況ですが、これは言語指導者としては大きなウィークポイントになります。「まったく言葉が通じない経験」が欠如しているので、学習者の立場になれないからです。
そこでTESOLコースでは「外国語体験」の授業を通じ、外国語の初学者としての立場を思い知る経験を、受講者にさせるのです。
実際に私がTESOLコースを受講したときは、いきなりドイツ語だけを使ったドイツ語の授業が始まりました。その後、私が日本人だと知ると講師が「日本語の授業を30分で良いから、してくれないか」と言いだし、やむなく私が日本語だけで、日本語の授業をクラスメートに対して行いました。
当時は「英語を教えるスキルを学びに来たはずなのに、一体私は何をやっているのだろう」という思いがよぎりましたが、なかなか愉快な体験だったと今では思っています。
くり返しになりますが、TESOLの受講者は英語が母語である人を前提としています。これは単純に英語力がネイティブレベルを求められる、という意味ではありません。
TESOLの本質は「母語である英語だけを用いて、非英語話者に対して英語を教える困難さ」を克服するためのカリキュラム、という点にあります。
元々非英語話者である日本人は受講者として想定されていません。そのため前述の「外国語体験」など、日本人からすると「何を当たり前なことに時間を使っているのだろう」と首をかしげたくなる授業もカリキュラムには入っているのです。
この点をふまえた上で、TESOL学位・資格を目指されることをおすすめします。
TESOLの基本情報
難易度 | 上級 |
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目的 | 英語講師としての就労 |
取得方法 | TESOLが学べる大学・大学院で学位を取得 TESOLコースがあるスクールで学ぶ |
取得できる国内の大学・大学院・スクール | テンプル大学ジャパンキャンパス インテソルジャパン |
TESOLは英語教授法なので、TOEIC®のような公式Webサイトはありません。TESOLについて詳しく知りたい方は、学位が取得できる大学のホームページなどを参考にするとよいでしょう。
英語の資格に関するよくある質問
- 英検®やTOEIC®を受験しても海外では意味ない?
- 日本の英検®が評価されるのは、残念ながら日本国内だけです。英語力の証明としては、英語圏で開発された試験のスコア以外は無駄だと思ったほうがよいでしょう。
その点TOEIC®はアメリカのETSが開発していますが、実は海外では認知度・信頼度は今ひとつ。使えるとすれば海外進出している日系企業への就職・転職の際のアピール程度でしょう。かつてはTOEIC®も英国ビザ申請時の英語力証明試験として公式認定も受けていましたが、大がかりな替え玉受験や組織的な不正が発覚したことで、国際的には大きく信頼度を下げました - TOEFL®とIELTS™ならどちらを受験すればいい?
- アメリカの大学への留学希望であればTOEFL®、オーストラリア、ニュージーランドを含むイギリス連邦を希望するのであればIELTS™を受験するのが基本です。まだ渡航先が決まっていない、実力を試すために受験してみたい、という場合であれば試験時間の短いTOEFL®の方が受験のハードルは低いと個人的には思います。
「高得点を取りやすいのはどちらか」という点が気になるかもしれませんが、TOEFL®・IELTS™ともに精度の高い試験ですので、仮に同時期に両方受験したとしてもたいした点数差はでないでしょう。
あえておすすめをするのであれば「文字を書くのが苦手」「対面で試験官と話すことに過度に緊張してしまう」「イギリス英語に不慣れ」という方はTOEFL向きでしょう。逆に「パソコン操作が苦手」「マイクに音声入力するよりは対面の試験官と対話形式が良い」「アメリカ英語に苦手意識がある」という方はIELTS™を選ばれると良いかも知れません。また過去にケンブリッジ英検の受験経験がある方は、出題傾向も似ているのでIELTSの方が抵抗は少ないでしょう。
【まとめ】「使える資格」を正しく選ぶことで無駄なく英語力を証明できる
この記事では英語資格が実際に求められるシーンを想定しながら、世界でも訴求力のある資格を紹介してきました。
日本では47種類も英語関連資格がある中で、世界に通用するおすすめ資格が6種類のみとかなり少ないと感じた方もいるかもしれません。
もちろん、すでにほかの試験を受験したからといって、その過程や結果は決して無駄ではありません。
その他の試験がまったく無意味であるというわけではなく、自分の英語力を相手に効率的に伝えるツールのひとつとして考えたときに、海外で評価されるものが、今回紹介した資格なのです。
ぜひ自分に合った資格を取得して、その先に目指すものに向かって邁進していきましょう。
また、英語の実力をキープするには英語学習の継続が不可欠です。オンライン英会話等を活用しながら日頃から英語に触れるよう意識しましょう。