「英語のブランクってもう取り戻すことはできないの?」
「昔は英語が得意だったのに、久しぶりに受けたTOEIC®のスコアが悪くて焦った」
かつて英語が得意だった人ほど、自分の英語力の衰えには敏感なものです。
私もこれまで英語力の衰えを感じるたびに「こんなはずではない」と現実から目を背けたり、「ブランクがあるから」と言い訳をしたり、何度もしてきました。
でも言葉はたとえブランクがあっても、必ず取り戻せます。
この記事では私個人の経験を通じ、ブランクを経て英語力をさらに向上させていくためのヒントをお伝えしていきます。
「もう以前のように英語を使うのは無理」と諦めずに、今まで以上に英語力を伸ばしていきましょう!
- 執筆者:Lin
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小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら
目次
ブランクを痛感し「英語を取り戻す」と決意した出来事
まずは私自身が、これまでどのように英語と向き合ってきたのかをお伝えしていきます。
ブランクを取り戻す方法の前にこちらを読んでいただくと、より参考になるかと思います。
すぐに取り戻す方法を知りたい方は、「私が実践した英語のブランクを取り戻す勉強法」をご覧ください。
小1でアメリカの現地校に通ったが帰国後思うように英語が使えなくなる
私が本格的に英語に触れたのは小学校1年生のとき。父親の転勤に伴い家族で渡米したときでした。
日本人学校がない地域で、地元の公立小学校に通う以外の選択肢がありませんでした。
小学校4年生で日本に帰国するときには、英語でのコミュニケーションに不自由はなく、学校の成績も特に問題はなかったと記憶しています。
きょうだいとも、学校内で会えば英語で話すのが普通でした。
日本に帰国して半年ほど経ったとき、初めて自分の英語力に「あれ?」という違和感を覚えました。
アメリカで読んでいた本を久しぶりに開いたものの、以前のようにスムーズに読めないのです。
黙読では文脈が捉えられず、ただ目で単語を追うだけ。音読しようとしても突っかかってしまい先に進まないのです。
また、アメリカ時代の友人が自宅に電話をくれたことがありました。とても仲が良く、会えたらいっぱい話したいことがあると思っていた友人でしたが、私は電話越しに曖昧な相槌を打つくらいしかできなかったのです。
相手の言っていることは理解できても、自分の思ったことをうまく言葉にすることができませんでした。
英語力が落ちた原因は「英語に触れる時間」が激減したこと
帰国後は親に勧められるまま週1回の「英語保持教室※」に通っていました。しかしそれ以外の時間で英語に触れることはほとんどなかったのです。
※ 英語保持教室とは、主に帰国子女の子供向けに、英語力保持を目的とした授業を行う教室のこと。
在米中は学校や習い事で毎日8時間以上を英語で過ごしていました。それが日本に帰国してからは週に1時間程度に激減したのですから、英語力が衰えたのは当然のこと。
それでも幼い自分には少なからずショックな出来事だったのです。
その後私は中学・高校と進学し、英語は一応得意科目の一つではありましたが、かつてのように「自由にコミュニケーションがとれる英語力」ではないことは、自分が一番よくわかっていました。
大学受験と学生生活で英語力を取り戻すも就職して再び落ちる
少し英語力が向上したと感じたのは大学に入ってからです。
英文科ではありませんでしたが、英語の論文を毎日読む日々が半年ほど続いたとき、以前ほど時間がかからずストレスなく英文を読めていることに気づきました。
また振り返ってみれば、大学受験に備えて大量の英文を読んでいたことも無関係ではありませんでした。
就職活動に備えて受験したTOEIC®スコアは885点。周りには900点越えも普通にいましたので、特別なことだとは思っていませんでした。
それでも企業の面接では「英語が得意なんですね」と言われることも多かったです。
新卒で入った会社で配属された部署は、通常業務では特に英語は必要とされませんでした。しかしなぜか「英語ができる人」と思われ、外資系企業への同行や論文の英訳などちょっとした「英語の頼まれごと」をされることが多かったです。
当時は仕事の忙しさもあって特に英語の勉強をしておらず、「頼まれごと」を持ち込まれても自分の実力では苦しいことがわかっていたので、そのほとんどを断っていました。
こわごわTOEIC®を受験すると、就職活動中よりも100点以上ダウンしていて大ショック。
「使わないと言葉はどんどん使えなくなる」という現実を嫌というほど痛感したのです。
周囲の評価と自分の実力にギャップを感じ学び直しを決意
子供時代を英語圏で過ごしたことや、TOEICスコアなどで周囲にもたれる「英語ができる人」という幻想と、実は大した英語力もない現実のギャップに私自身がストレスを感じ、改めて英語を勉強し直そうと思うようになりました。
私の英語学習のスタートは小学生時代。一切の日本語が通じない環境に放り込まれることから始まりました。勘をはたらかせ、手探りのような状態で英語を身につけてきたのです。
日本に帰国後は、教科としての英語を中高の6年間で履修。大学受験を突破するため受験科目としての英語を学んできました。
思い返してみれば私は常に必要にせまられて、ある意味受け身のかたちで英語と向き合ってきました。「やりたいから」ではなく「やらざるを得ないから」英語を学んできたのです。
ブランクを経て自分の英語力と真摯に向き合った結果、これまで受け身だった英語との関わり方を変え、主体性を持って学ぶことで確かな英語力を身につけたい、と心から思うようになりました。
折しも日常的に英語を使う職場に転職したことや、その後家族の転勤に帯同しイギリスで数年暮らしたことで、再び英語を使う環境にあったことも「英語力を取り戻したい」と強く決意するきっかけともなったのです。
ブランクがあっても以前の英語力を短期間で取り戻すことは可能?
「昔はもっと上手にできたのに」と、何事においても過去と比較して現状の衰えを感じると辛いですよね。
しかし加齢が原因で衰える筋力や体力などとは違い、語学力はブランクがあっても充分挽回可能です。
ブランクがあれば言葉が使いづらくなるのは当たり前
言語はとても繊細なもので、一度身につけても使わない期間が長くなれば、その分だけ衰えていくものだと私はこれまでに何度も実感しました。
学生時代から20年以上アメリカで生活している知人でさえ、日本に数週間滞在してからアメリカに戻ると1週間程度は英語が出にくくなると言います。
私自身もアメリカやイギリスで生活している頃、月曜日は英語が出にくいと感じていました。週末を家族と日本語で過ごしていたからです。
「ブランクの分だけ衰える」というのは外国語だからではありません。母語であっても同じでしょう。
「長期休暇が明けて職場に戻ったとき、オフィスでの会話が少しぎこちなく感じた」
「家で子供とばかり話していたから、久しぶりに大人同士の会話になるとどぎまぎした」
このような経験はどなたでもあるのではないでしょうか。
「言葉は、使わなければ出にくくなる。」それは自然なことだと、まず受け入れることが大切です。
ブランクがあっても完全に記憶から消滅するわけではない
言葉は、使わなければ衰えるのは事実です。しかし衰える、といってもその言語に関する記憶すべてが完全に消滅してしまうわけではありません。
幼少期を海外で過ごして日本に帰国した子供の多くは、どれほど現地語が堪能であっても半年から1年で完全に日本語が優位になります。周りに日本語があふれているのですから当然です。
「現地ではあれほど流暢に話していたのに、今ではすっかり忘れてしまったようだ」と親はがっかりし、周囲からは「もったいない」と言われるでしょう。
しかし彼らのなかで、跡形もなくその言語が消えたわけではありません。学び直す機会が巡ってきたとき、初学者とは比べものにならないスピードで習得していくのをこれまでに私は何人も見てきました。
言葉が衰えたのは、触れていなかったからに過ぎません。触れる機会があれば、また言葉を取り戻すことは、必ずできます。
「以前の英語力」にこだわらず「今必要な英語力」を目標にしよう
「以前の英語力を取り戻さなければ」という焦りは、「英語力を向上させたい」という英語学習のモチベーションにつながります。
しかし「以前の英語力」を目標にしてしまっては、それ以上のレベルには到達できません。
以前、つまり過去の自分を目指すのではなく、ぜひ「今」「これから」自分が目指す目標値を掲げてみましょう。
目標を掲げられたら、本格的に学び直しをスタートしましょう。次の章では、ブランクを取り戻す勉強法や心がけていたことをお伝えしていきます。
私が実践した英語のブランクを取り戻す勉強法5選
私自身が英語力に危機感をもったときに実践した勉強法や、心がけていたことは、主に次の5つです。
英語のブランクを取り戻す勉強法
- 英語の衰えを感じたときに慌ててアウトプット訓練に走らない
- 多読で集中的な大量インプットをする
- 海外メディアの社説を精読して語彙や表現を学ぶ
- 口語表現のインプットにはトーク番組が最適
- TOEIC®は英語力の目安として活用
1. 英語の衰えを感じたときに慌ててアウトプット訓練に走らない
「言いたいことがスムーズに英語ででてこない」
「英語でメールを書こうと思ったら、ものすごい時間がかかる」
このように、アウトプットが思うようにできないことで、自分自身の英語力の衰えに気づく人が多いのではないでしょうか。
ここで慌てて英会話教室や英文メール講座に身を置いて、アウトプットの訓練を積んでも、表面を取り繕うことはできても根本的な解決にはなりません。
「英語がでてこない」状態はアウトプットの訓練が足りていないから起きるのではありません。(もちろん原因のひとつではありますが……)
単純に、英語と触れる機会が減ったことでインプットが枯渇し、結果的にアウトプットに支障がでているに過ぎないのです。
このことから、英語力を根本から回復・向上させたいと思うのであれば、重点的に取り組むべきは英語のインプットであると私は経験上考えています。
2. 多読で集中的な大量インプットをする
英語のインプットでもっとも効率が良いのが「読む」ことです。場所や時間を選ばずに1人でできます。インターネットや公共図書館などを利用することで、コストを抑えることも可能でしょう。
私が意識したのは以下のようなことでした。
インプットのために意識したこと
- 精読よりも多読 最低でも1週間に1冊本を読む
- 薄い本を最後まで読み切る
- 難しい本を選ばない 見栄を張らない
- 英語を読むことを習慣づける
これらの点を踏まえて、インプットのために実践した勉強法を詳しく紹介します。
最初は英語学習者向けのペーパーバックから
まずは英語学習者向けに編集された洋書を読みました。私が手にしたのはペンギン・リーダーズ(Penguin Readers)です。
ペンギン・リーダーズとは、イギリスの出版社が出している英語学習者向けの書籍。現代小説、ノンフィクション、古典など豊富な種類が出版されています。
学習者向け書籍とあって、Easystartsからレベル6までレベル分けされているのが特徴です。
語彙レベルが明記されているので、必ずやさしめのものから選ぶようにし、1週間に1冊読み切るというノルマを自分に課しました。読書を楽しむのではなく、最後まで読み切ることが目的でした。
10冊目に近くなる頃には1日で1冊読み切ることもできるようになり、教科書的な単純な言い回しではなく「もっと自然な表現を知りたい」という欲もでてきました。
子供の頃読んだ児童小説を原書で読む
学習者向けのペーパーバックの次に挑戦したのが、児童小説です。子供の頃、日本語翻訳本を夢中になって読んでいたシリーズの原作を、当時住んでいたイギリスの地域図書館で探してみました。
具体的な作品を紹介すると、「St Clare’s Collection」や「The Chronicles of Narnia」などです。
出版から50年以上経ってはいたものの、小学校低学年〜中学年向けに書かれた文章はわかりやすく、それでいてとても「イギリスらしい表現」にあふれていました。
この頃はただ読み切る、ということ以上に「読書を通じてイギリスらしさを感じる」ことが目的になっていました。
小学校中学年~高学年向けになりますが、「ハリー・ポッターシリーズ」などは大人も夢中になるほど人気が高く、会話の種にもなるのでよく読みました。
大人向けの小説は選び方が難しい
子供向けとは違い、大人向けの小説は自分にはハードルが高かったです。書店でなんとなく選んだようなものは、まずほとんど読み切れませんでした。
また英語ネイティブの人が「面白かった」と言って勧めてくれる本も、私にとっては難解でした。ユーモア小説のたぐいで、笑いのツボがいまひとつノンネイティブにはつかみきれなかったのです。
結局一番よく読んだのは、近所でブック・グループ(何人かで集まり、同じ本を読んで感想などを言い合う読書サークル)を運営している女性が勧めてくれたものです。ノンネイティブでも理解しやすいものを選んでくれていました。
また人気作品で、映画化やドラマ化されているものも映像から情報が補えるので楽に読めました。
おすすめの大人向け小説
- Call The Midwife: A True Story Of The East End In The 1950s
- The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society
- Case Histories
読書ノートをつけるとアウトプット訓練にもなる
本を読んでいて気になった表現やフレーズをノートに書き写すようにしていました。
そして読み終わったら、あらすじと感想を英語でメモしておきます。こうしておくと、何気ない会話のなかで話題にできるので重宝しました。
ときどきプロの英語講師に自分の書いたものをチェックしてもらい、文法や語法などをブラッシュアップさせて書き直すこともしていました。
ライティングの訓練としてとても効果的だったと思います。
3. 海外メディアの社説を精読して語彙や表現を学ぶ
読書は楽しいものですが、一方で、描かれる時代や登場人物の立場や環境によって使われる表現や単語が偏るのが難点です。
そのため実生活で使われる表現をインプットするのには、主に海外メディアを活用していました。
The Guardianはイギリスの一般紙で、公式サイトでは無料で最新のニュースやコラムを読むことができます。
1面から目を通していては挫折するので、「Editorial」と呼ばれる社説だけを読んでいました。5~6パラグラフ3,000字程度と量もそれほど多くないのも、勉強を続けやすいポイントです。
一流メディアの記者が書いている文章は洗練されていて「こんな文章、一生かかっても自分には書けないなあ」とため息をつく毎日でしたが、語彙や表現だけでなく、社会情勢に対する理解も深まり大変勉強になりました。
4. 口語表現のインプットにはトーク番組が最適
話し言葉は、書き言葉とは比べものにならないほどバリエーションが豊かです。
時代によって、地域によって、属するグループによって変化するのが当たり前なので、実際の会話をこなして場数を踏むことで身につけるのが一番でしょう。
とはいえ実際の会話では、テンポが速すぎでついていけず、ようやく発言できそうになったらすでに話題が移っていた、などというのはよくある話しですよね。
私は実際の会話を想定したインプットのために、ラジオやテレビでトーク番組をよく聞いていました。
人前で話すことに慣れた芸能人やアナウンサーではなく、一般人が登場するようなもののほうが実際の会話に近く、勉強になりました。
政治や経済について真面目に討論するというよりも、芸能ゴシップや子供のしつけなど、身近で軽い話題をどう扱うのかが身についたと思います。
ノートをとって一字一句聞き漏らすまい、と真剣に聞くのではなく、家事をしながら「こういう言い方するんだ~」くらいの軽いノリで聞いていました。
5. TOEIC®は英語力の目安として活用
英語力を示す指標として、日本でもっともメジャーなのはTOEIC®だと思います。私も実際に受験したので、スコアの変遷をお見せします。
TOEIC®のスコア変遷
受験時期 | スコア | 詳細 |
---|---|---|
就職活動中 | 885点 | まったく英語に触れない数年間で大幅ダウン |
転職前 | 850点 | 履歴書に書きたくてTOEIC再受験 問題集で対策し900点目指したが及ばず |
再勉強後 | 915点 | 「そういえば今何点なのだろう」と思い立ち、受験 目標としていた900点をクリアしたのでこれが最後の受験 |
ちなみにTOEIC®のスコアは英語の運用能力を正確に示すには不十分とも指摘されています。
高スコアでも英語でのコミュニケーションが苦手、という人が現実にいるからでしょう。私も同感です。
しかし、これまで受験してきた実感として英語力の一応の目安になるのも事実です。
スコアそのものに一喜一憂して試験対策だけに没頭するのではなく、ペースメーカー的に定期的に受験するスタイルで活用することを、皆さんにはおすすめしたいと思います。
ここまで、実践してきた勉強法で効果的だったものを紹介しました。これら以外にもいろいろな方法で勉強してきましたが、中にはあまり効果がなかった勉強方法もあったのです……。
私には意味がなかった英語の勉強法4選
「英語のブランクを埋めよう」と焦って取り組んではみたものの、今振り返ってみるとあまり効果的ではなかったことを、反省を込めてお伝えします。
どれも主体性なく「ただ、なんとなく」取り組んでいたことが最大の反省点です。
意味がなかった英語の勉強法
- 目的意識なく英会話レッスンにただ通う
- 資格試験をただ受けまくる
- 英文法書を1ページ目からただ読む
- 国内ニュースを英語音声でただ聞きながす
勉強の仕方は人それぞれなので、これらのことを絶対にしてはいけない、ということではなく、失敗例の一つとして読んでいただければ幸いです。
1. 目的意識なく英会話レッスンにただ通う
英語が口から出にくくなったことに焦り、英語指導者資格を持つイギリス人の知人に英会話レッスンをお願いしたことがあります。今思えば「英語を話す場」を作って安心したかったのだと思います。
しかし「英語で何がしたいの?どうなりたいの?」と彼女に聞かれたとき、私は「これがしたい」「こうなりたい」という明確な返答ができなかったのです。
やっとの思いで私が「英語で話せるようになりたい」とつぶやくと、彼女はこう言いました。
「英語で話したいって、今も話せてるじゃない。どういう英語を話せるようになりたいのか、自分ではっきりわかっていないとレッスンしても無駄だと思う。時間つぶしのおしゃべりがしたいわけじゃないでしょう?」
当時の私は漠然と「英語で話せるようになりたい」と思っていただけで、恥ずかしながら「どういう英語が話せるようになりたいか」という明確なビジョンがなかったことに、彼女に指摘されて初めて気づいたのです。
彼女は知人という立場だったため、ここまで率直に意見を言ってくれましたが、英会話スクールのスタッフとその生徒という立場で出会っていたら、まったく違ったと思います。
おそらく私を「良いお客さん」として受け入れ、「おしゃべり」をし、私はその時間に対して料金を支払っていたことでしょう。
「英語を話せている自分」に安心感を得ることはできたかもしれませんが、「こうなりたい」がない状態では、レッスンではなくただのおしゃべりの時間に過ぎない、ということにずっと気づかないままだったかもしれません。
目的意識のない時間つぶしの「おしゃべり」だけでは英語力は大して向上しません。「自分はこの時間で、これを身につけてみせる」という、主体性を持って参加することができて初めて、他者からの指導とは生きてくるのだと今では痛感しています。
2. 資格試験をただ受けまくる
現在私は英検1級を取得していますが、実は合格までに2度玉砕しています。今思い返しても、その2回のチャレンジは無謀で無駄なものでした。
英検(実用英語技能検定)については「英語運用能力を正しく測れない」といった否定論もあります。しかし少なくとも「英検1級」に関して言えば、日本国内では一定の信頼感があるのは事実でしょう。
スキルのひとつとして「英語」を掲げたいと考えていた当時の自分も、取得したくなったのです。しかしいざ過去問を解いてみると、まず知らない語彙が多すぎることに打ちのめされました。
さらに間違えた箇所の解答・解説を読んでも内容に納得できません。得意なはずの読解問題でも、制限時間内に解き終わりません。
今思えばまったくの実力不足なのですが、当時の私は現実から目を背け「リスニングで満点取れば、ギリギリで受かるかも」「語彙問題は半分取れればいいや」「読解問題に時間を費やせば大丈夫」と、小手先のテクニックで乗り切ろうとしたのです。
結果はもちろん、合格には及ばず。それでも「次はいけるかも」と根拠のない自信をもって、特別な対策もせずに2度もチャレンジした過去の私は本当に馬鹿だったと我ながら思います。
もし過去に戻れるのであれば、あのときの自分に言いたいことは3つです。
- テクニックだけで英検1級に合格しようと思うな
- 英語力がつけば自然と英検1級には受かる
- いったん英検から離れて、たくさん英文を読め
そもそも問題文のなかに知らない単語があり、前後の文脈からも推測できない時点で、語彙力が足りていません。
解説を読んでも「なぜ間違いなのか」納得できないということは、基礎的な文法知識が欠如しています。読解問題が時間内に解ききれないのは、英文を読むスピードが遅すぎるということ。
こうした現状を自分自身で分析することもせず、私はただやみくもにチャレンジしただけだったのです。若さゆえ、とも言えますが時間も受験料も無駄にしてしまった苦い思い出です。
3. 英文法書を1ページ目からただ読む
私は学生時代から英文法の授業が苦手でした。大学受験のとき、必要にせまられて一通り習得はしましたが、「自分は英文法が苦手」というコンプレックスを長年抱えてきました。
しかしあるとき、衰えていく英語力を支えるためには英文法の勉強をやり直すのも効果があるかもと私は思ったのです。TOEICや英検の問題で、文法問題の得点が伸びないことに焦っていた時期でした。
英文法の知識は、英語力を下支えしてくれます。ですから、このときの「英文法を勉強し直せば英語力は上がるかも」という私の仮説は決して間違っていません。
ところが、やり方が大間違いでした。
苦手なことには正面から向き合おうと、あれほど嫌いだった英文法書を1ページ目から読破しようとしたのです。
結果は大失敗。あまりの退屈さに1週間も続かず、英文法への苦手意識を無駄にこじらせただけでした。
今思えば英文法の知識を得ることを、文法書だけでインプットしようとしたところが挫折の原因だとわかります。
当時の私に欠けていたのは英文法そのものの知識、というよりも「実際にどのような場面で英文法が用いられているのか」という視点です。
このことに自分で気づいていれば、理論だけを解説した専門書ではなく、より実践的な内容を扱った参考書を手にできていたでしょう。
もちろん英文法書を読破するやり方で効果がでる人もいるはずです。でも私にはまったく不向きでした。
4. 国内ニュースを英語音声でただ聞きながす
「英語でニュースぐらい聞き取れなければ」と意気込んでNHKニュースを英語音声に切り替えて聞くようにしてみたことがあります。残念ながら集中力が持たず聞き流してしまい、無駄でした。
国内ニュースの英語翻訳は、ニュースの内容そのものをすでに知っていることが裏目にでることがあります。
つまり「このニュースは何を伝えるものか」と必死に聞くことをせず、「ああ、あの話しか」と油断して聞き流してしまうのです。
どうせ聞くならば日本国内の翻訳ニュースでなく、短時間でも海外メディアのニュースを聞けばよかった、と今なら思います。
【まとめ】英語に触れる機会をもてば英語力は必ず取り戻せる
この記事では私個人の経験を失敗談も含めお伝えしながら、ブランクを経た後、英語力を上げていく方法について紹介しました。
言葉は繊細なもので、使わなければ衰えるのは自然の理です。
しかし使えば、触れれば、必ず言葉は戻ってきます。そして努力次第でいくらでも向上させることができるのです。
焦らず、諦めず、ご自身のペースで英語力を取り戻していきましょう。