京都市内から車で約1時間、大阪北摂からでも約1時間半と、思いのほか近くに感じるところに京都府下最大の面積を誇るまち、京都府南丹市美山町があります。そこには豊かな自然と昔ながらの茅葺き民家が多く残り、古き良き日本の原風景ともいうべき景色が今もなお大切に守られています。

美山町は800~900メートル級の山々に囲まれた谷あいの山村で、もともとは林業や農業を中心に栄えた町でしたが、近年では観光が大きな産業となっています。

人口は4,454人(平成24年11月現在)。東西を由良川の源流となる美山川が横断し、川に沿って昔ながらの茅葺き民家が残っています。その中でも知井地区にある北集落は、特に茅葺き民家が多く、自然景観と、茅葺き民家が調和して、日本の農村の原風景とも言うべき風情を呈しています。この集落は現在、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。

この美山川に沿って走る街道(大野ダムから、芦生ロードパークまでの約36キロメートル)は、近年、国土交通省による「日本風景街道」に「美山かやぶき由良里(ゆらり)街道」として指定されました。

美山町はかつて、福井県高浜市を中心とした日本海沿岸から京都市へと続く街道「西の鯖街道」としても栄え、高浜から京都へ運ばれる荷を下ろした中継の地でもありました。沿道となる鶴ヶ岡地区、宮島地区には、今もなお街道としての名残を残す史跡や行事なども存在しています。

近年美山町では、豊かな自然環境や景観を守るため、これらを地域資源として他にはない魅力あふれた町を目指そうという動きが活発化しています。川や森を使ったレジャー、きれいな道を活かしたサイクリング、薪能や地域の祭など伝承文化の継承などとともに、農林水産業や観光業の振興など、魅力あふれるまちづくりを目指しています。